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Research「平和・市民性教育」ユニット

記事公開日:2020年12月28日

 

本ページでは、2020年度にリニューアルされたEVRIの研究ユニットのうち、「平和・市民性教育」ユニットにおける研究について紹介します。

もくじ

1.平和・市民性教育ユニットのコンセプト
2.「他者の語りに開かれた平和教育を目指して」平和教育 サブユニットの活動(まもなく公開)
3.「学校の教室空間の「再政治化」への挑戦」市民性教育ユニットの活動

 

EVRIの新生「平和・市民性教育」ユニットは、対話にもとづいて
学校空間を民主化・政治化する方法をデザインすることを目指します。

日本の学校の教室で子どもたちはどんなふうに過ごしているだろうか。クラスメイトとの意見の対立やお互いの異なる価値観について、共に理解し合い、協力し合えるような教室空間が作れているだろうか。日本の学校の教室で、子どもたちはどれくらい民主主義について実践し、学んでいるのだろうか。

平和・市民性教育ユニットのリーダーである川口広美先生は、自身の研究の来歴を振り返りながら今日の日本の教師に見られる「対話」と「対立」を避ける傾向に強い関心を示した。「平和・市民性教育」ユニットでは、不干渉や同質性に固められてしまっている日本の学校に、他者と対話しながら教室での学びを自ら「治める」ことのできる教室空間のあり方を探究する。

平和・市民性教育ユニットは、ヒロシマ発の平和教育の開発的研究を推進する平和教育サブユニットと、教室空間の再政治化に挑戦する市民性教育サブユニットから構成される。

今回、平和・市民性教育ユニット全体のコンセプトは川口広美先生に語っていただき、サブユニットの平和教育研究の解説は金鍾成先生に、市民性教育研究の紹介は川口先生にしていただいた。

 

対話にもとづく民主的で政治的な教室空間のデザインにむけて
平和・市民性教育ユニットのコンセプト

対話が生まれる空間をどのようにしたら生成できるだろうか

「教室で論争することはリスクと捉えられているんですよね」。川口は、日本の学校教育には民主的な空間を生み出しにくい要因が数多く潜むことに強い問題関心を抱いてきた。

「「みんな仲よく」っていう規範においては対話が想定されているけど、対話っておしゃべりじゃないんですよね。話せばいいのではなく、自分が考えていることと相手が考えていることをキャッチボールする過程で対話は生まれてくるはずなのに、日本の学校はこのキャッチボールがなかなか成立しがたい。なんでそうなっているんだろう?っていうのが出発点ですね」。

「一緒であること」が大事にされる日本の教室空間では、互いの差異にまなざしを向けるキャッチボールの力が育ちにくい。対話が生まれる空間をどうしたら生み出すことができるのか。この点を平和・市民性教育ユニットは究明しようとしている。

民主化と政治化をセットでやらねばならない

「このユニットは、民主化と政治化をセットにして対話を考えるのがポイントなんですよね」。川口は、平和・市民性教育ユニットのコンセプトを説明した文面を見ながら何度もこうつぶやいた。川口は、同質性と不干渉が支配する日本の学校・教室空間を批判的に受けとめ、差異と多様性を基調とした対話の民主的関係に学校教育の可能性を見出している。それがそのまま教室空間の政治化の必要性とも重なってくる。というのも、教室の内外でおきる対立や論争に自分事として向き合い、意見が割れるときにこそ、対話の真正さは高まるからだ。「他者との対話を通して「治める」のが民主主義の原点。そこには多様な考え方を持つ「異質な他者」の存在が必須で、「みんな同じ」じゃだめだと思うんです」。


教室空間の中に「異質な他者」との対話が生まれるような民主的な空間を、そして対立や論争に向き合っていける政治的な空間をどのようにしてつくっていけばいいのだろうか。平和・市民性教育ユニットは、この問いに平和教育市民性教育の二つのサブユニットからアプローチしていく。以下、それぞれの研究を牽引する先生にお話を伺った。