【2021.04.29】第75回定例オンラインセミナー「主権者教育の改革を考える(5)―歴史・政治教育の教師をいかに育てるか-」を開催しました
Ⅰ.開催報告
「主権者教育を考える」シリーズは,科学研究費助成事業(国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))「オーストリア政治教育の挑戦-教室空間で政治問題をいかに教えるか-」)の成果発信と実践者との対話を目的としています。
川口先生と草原先生の報告によると,①ボローニャプロセスの一環で欧州高等教育圏では大学の単位互換化が進んでいること,②並行して高等教育と教師教育の改革を通して欧州市民を育てる動きが活発化しており,オーストリアもそれに漏れないこと,③その結果,初等中等教育の歴史教育はナショナルな歴史を教えるだけではない,歴史に埋め込まれた現代的課題を,または欧州の文脈に埋め込まれた各国の政治的・社会的課題を探究させる歴史教育が期待されるようになったこと,④この動きは歴史と公民を統合して教える「CHE教師」「CDE教科」という概念に結実したこと,⑤各国の教育課程をCHE教科化するには制度的制約が大きいため,各大学ではCHE教師を養成し輩出することで,歴史系教科の実質的なCHE教科化を図っていること,⑥そのためにグラーツ大学の歴史教師の養成課程は,国際化,欧州化,市民教育化の方向で改革されてきたこと,などが報告されました。
最後に司会の金先生が,ご自身の博士論文研究で直面した課題に言及されました。すなわち,アジア各国の異なる支配的な歴史言説と対話しつつ,子どもが歴史の語りをつくっていける教師を育てることが急務だが,それは決して容易ではないこと,またアジア各国で歴史教育のあり方をめぐって議論していくためにも,研究者の間で共通の言語(概念)をもつことが大切なことが確認されました。本シリーズでは,引き続き欧州・オーストリアの政治教育の動向を手がかりにして,「日本の主権者教育の改革を考える」視点を提供してまいります。
Ⅱ.アンケートにご協力ください
多くの皆様にご参加いただきまして、誠にありがとうございました
ご参加の方は、事後アンケート(アンケートはこちらをクリックしてください)への回答にご協力ください。
*第75回定例セミナーの告知ポスターはコチラです。
本イベントに関するご意見・ご感想がございましたら、
下記フォームよりご共有ください。
※イベント一覧に戻るには、画像をクリックしてください。