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2020年8月11日公開
2020年11月13日更新

0. Introductionはじめに

 

プロジェクトの概要

本ページでは、広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)が、ポスト・コロナの学校と授業を提起する取組について紹介します。

事業概要
●事業テーマ  :ポスト・コロナの学校教育を提起する
●事業目的・内容:全国学校一斉臨時休業を教師の存在意義と学校のあり方を問い直す問題提起ととらえ、コロナがもたらした新しい日常における学校づくり・授業づくりのあり方を実践的取組とともに提案する。

 

NEWS
2020年7月16日 『ポスト・コロナの学校教育』(渓水社)が刊行されました
2020年11月13日 「ポスト・コロナの学校教育」関連の書籍リストを作成しました


2020年2月28日、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、政府は全国の公立学校に一斉臨時休業の要請をしました。学校の一斉臨時休業は3月にとどまらず、4月の新学期以降も継続的に行われることになり、学校現場では、新しいクラスの子どもと出会う時間もないまま新学期はスタートしました。オンライン授業をどう作ればよいのだろうか、そもそも子どもたちとの関係づくりをどのようにすればよいのだろうか、と休業下における課題と教師の不安は山積していました。

EVRIでは、コロナがもたらした全国の学校の一斉臨時休業を、教師の存在意義と学校のあり方を問い直す問題提起ととらえ、以下のいくつかのフェーズに分かれて活動を展開してきました。

第1フェーズ(2020年4月~2020年6月)
「学校休業下の学び支援・授業づくりを考える」
第2フェーズ(2020年7月~2021年3月)
「ポスト・コロナの学校教育」

 

以下ではフェーズごとの取組と成果を紹介します。

 


第1フェーズ学校休業下の学び支援・授業づくりを考える

問題背景
学校全国一斉臨時休業が提起した問題

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年2月28日、首相は全国の学校に一斉臨時休業要請を発表しました。3月2日に開始された一斉休校は3月にとどまらず、新学期を迎えた4月にも引き続き休校が続けられることとなりました。

4月16日には全都道府県に緊急事態宣言が出され、長引くパンデミック下で、授業づくり・学級づくりを全く新しい形で進めなければならない事態に直面しました。

EVRIは、学校現場の状況を把握するところかはじめるべく、緊急アンケート「COVID-19に伴う休校問題を考える―大学の支援活動に関するニーズ調査―」を行いました。その結果からは、学校休業下で授業づくりが進められない状況や、新学期に入ってからの子どもとの関係づくりが困難である状況などが明らかとなりました。

緊急アンケート結果一部(第38回セミナーにて報告)

 

4月9日、川口広美准教授がEVRIメンバーに対して、学校一斉休校下の子どもの学び支援および特に教師の支援のために何かできないか、という問題提起をし、協議を経た4月17日、学校休業問題タスクフォースが立ち上げられました。パンデミックがいつまで続くのかが全く予期できなかったこの時期、タスクフォースでは、まずは教育関係者が集まって学校と授業の新しい形を模索する場所を作ることが提案され、「学校休業下の学び支援・授業づくりを考える」と題するオンラインセミナーを開催することとなりました。

オンラインセミナーは4月から6月にかけて5回開催されました。刻々と状況が変化する予測不能な事態に立ち向かうべく、実践報告を中心にオンライン授業や子ども支援のあり方を参加者とともに議論・提案してきました。

 

オンラインセミナーの展開

日付 テーマ 主な話題・セミナーで紹介された提案・成果 セミナーの様子
4月25日 第38回定例オンラインセミナー
学校休業下の学び支援・授業づくりを考える(1)
EVRIフェーズー遠隔授業の環境整備状況を把握しようー
 ―フェーズ0.x:教科通信
 ―フェーズ1.x:オンライン教材の紹介
 ―フェーズ2.x:3分間ティーチング
※準備中
5月  2日 第39回定例オンラインセミナー
学校休業下の学び支援・授業づくりを考える(2)
EVRI知恵袋-オンライン相談室-
社会科教科書執筆者からの挑戦状 ※準備中
5月16日 第40回定例オンラインセミナー
学校休業下の学び支援・授業づくりを考える(3)
オンライン授業研究会 今週何をした?再開後を見据えて何をします?
COVID-19 パンデミックへの学校教育における対応マトリックス
 -超短期・短期・中長期的視野に立ってできることを考えよう-
※準備中
5月30日 第41回定例オンラインセミナー
学校休業下の学び支援・授業づくりを考える(4)
オンライン授業研究会―教科指導を考える―
実践報告の募集-休業下の取組をまとめよう- ※準備中
6月13日 第43回定例オンラインセミナー
学校休業下の学び支援・授業づくりを考える(5)
学校の新しい日常をいかに受け止め・つくっていくか
第1フェーズの総括
 ―EVRIフェーズとマトリックスの視点から見た実践報告の分析
第2フェーズの予告
※準備中

 

 


 

 

第38回定例オンラインセミナー
「学校休業下の学び支援・授業づくりを考える(1)」

第38回定例オンラインセミナー(4月25日開催)を、184名の参加者をもって開催しました。

はじめにセンター長の草原和博がセミナーの開催趣旨を述べ、緊急アンケート調査の結果を報告しました。前半部では日本に先行して学校休業下での取組をされてきた、河原洸亮先生(中国・国際関係学院)と栗本和明先生(北京日本人学校)より「コロナ禍における中国の教育事情と教育機関の対応例」と題して事例報告をしていただきました。両先生のお話は,日本がこれから数か月の間に直面するであろう課題を暗示するとともに,困難を乗り越えていく手がかりと勇気を与えてくださいました。次に徳田敬先生(広島県立広島叡智学園中学校・高等学校)より「学校休業時における新たな可能性の追究ーZoomの活用ー」をご報告いただきました。各教科におけるオンライン授業の取組例と、生徒のICTスキルに対応した丁寧な導入と実践の必要性をお示しいただきました。

詳細はこちらからご覧いただけます。

 

同セミナーにおいて、コロナ下での学校の状況をとらえる視点として、フェーズ0.xから2.xまでの三段階からなるフェーズをEVRIは提案しました。フェーズに基づいてオンライン授業の整備環境を掴み、そのフェーズにあった取組を進めることが提案されました。

 

 


 

第39回定例オンラインセミナー
「学校休業下の学び支援・授業づくりを考える(2)EVRI知恵袋-オンライン相談室-」

2020年5月2日(土)、政府は緊急事態宣言の延長を決め、学校休校も6月まで延長されることとなりました。休業が長引く学校の多くがフェーズ0.xの状況にあることが第38回セミナー後のアンケートより明らかとなり、学校現場での悩みや不安を共有し知恵を分け合うオンライン相談室を開催することとしました。

135名の参加者とともに開催された第39回定例オンラインセミナー(5月2日)では、子どもの学びをどう保障するのかについて、小・中・高だけではなく,特別支援学校や定時制高校,教育委員会から、また教職員として,管理職として、保護者として、子どもの支援団体として、と様々な立場と視点から議論がなされました。校内研修をどのように作っていくのか、各フェーズで授業をいかにつくるか、オンラインでの「授業開き」や「ルール作り」をどのようにするか、外国にルーツのある子や特別なニーズな必要のある子に今なすべきこと・できること、オンラインでの教科書使用の著作権の取扱い等について、意見交換が行われました。

詳細はこちらからご覧いただけます。

 

本セミナーにおいて、オンラインでの単元学習のヒント集である社会科教科書執筆者からの挑戦状が紹介されました。オンライン上で子どもと教師が応答し、学びを深めていく探究の支援サイトになることを願って設計されました。

 

社会科教科書執筆者からの挑戦状

 


 

第40回定例オンラインセミナー
「学校休業下の学び支援・授業づくりを考える(3)
ーオンライン授業研究会ー今週何をした?再開後を見据えて何をします?」

5月5日、経済協力開発機構(OECD)が”Trends Shaping Education Spotlights 21 Coronavirus special edition Back to school”を発表し、パンデミック下における学校教育が立ち向かう課題に関する提言がなされました。14日には延長されていた緊急事態宣言が8都道府県を除いて解除され、この事態も収束に向かうのではないかという明るい兆しが見え始める5月中旬でした。

第40回セミナー(5月16日開催)では直近の教育界の動向を踏まえ、学校と授業の「新たな日常」のはじまりを告げる回となりました。87名の方が参加しました。

OECDレポートを読むコーナーでは、5月5日の”Trends Shaping Education Spotlights 21 Coronavirus special edition Back to school”と、3月末に発表された”A framework to guide an education response to the COVID-19 Pandemic of 2020″の二本のレポートが紹介され、コロナ問題がもたらした学校教育への影響について報告されました。「vulnerable=社会的に脆弱な、身体的精神的に被害を受けやすい」子どもへの支援を軸にして、①子ども・教師・家庭にいかにアプローチしていくか、②超短期・短期・中長期的にはどのような課題に取り組むべきか,を捉える枠組みが示されました。

変わりゆく日常と向き合いどのような学校と授業を作っていくかについて、「今週何をした?再開後を見据えて何をします?」をテーマに、校種別部会に分かれて、授業研究会を開きました。幼稚園・小学校部会では、タブレットでドリルを導入しつつ、学校にも家庭にもオンライン環境が整備されていない状況で何をしていくべきかが話題となりました。中学校部会では,分散登校が始まり,どのように授業を展開するかが話題となりました。高等学校部会では、オンライン・オンデマンド化が進む中で、オンライン授業の負荷を減らしていく工夫が共有されました。取組の過程で教員間の絆が深まったことや、生徒が積極的にコメントしてくれる発見もあったことが報告されました。教育行政・教員研修部会では、オンライン授業の進め方や学校の問題状況の多様性を見据えた教員研修のあり方が問題提起されました。

詳細はこちらをご覧ください。

 

OECDのレポートを基盤に、EVRIメンバーが大学院生とともに協議し、学校がパンデミックに対応するためのマトリックスを作成・提案しました。「vulnerable」を鍵概念に、「子どもの心身の健康と安全」、「カリキュラム」、「オンライン活用」の3つを、超短期・短期・中長期の3つの視点でどのように取り組むかを、学校組織で活用されることが期待されています。

 

 


 

第41回定例オンラインセミナー
「学校休業下の学び支援・授業づくりを考える(4)オンライン授業研究会―教科指導を考える―」

 

5月16日に全都道府県で緊急事態宣言が解除され、6月からの学校再開も目前に控える5月30日、再開に向けた準備状況の点検の意味をこめて、80名の参加者とともにセミナーが開催されました。

石川照子校長・山中勇夫教諭・今中浩二教諭の3名の先生方より、それぞれ「新型コロナウィルス感染症拡大に対する学校の対応マトリックス」、「遠隔授業への取り組み」、「日彰館高校の取組 オンライン校内研修 総合的な探究の時間 英語科」と題して校内組織づくりやオンライン授業作成のコツが提案・報告されました。教職員がオンライン授業作成で連携する大切さ、さらには教員だけでなく、学年を越えた生徒同士の応答関係を用意したり、保護者や地域と連携することなど、複層的で多方向のつながりの大切さが確認されました。

オンライン授業研究会は、子どもの状況把握やオンライン整備に奔走してきたこれまでから、今後は学びの質と深まりについても考えていくべく、①国語②社会③算数・数学④理科,技術・家庭⑤音楽⑥保健・体育⑦外国語(英語)⑧特別支援⑨生活指導,高等教育,学校経営,総合の9部会に分かれて議論を行いました。それぞれの部会では、参加者のこれまでのオンライン授業の試行錯誤や取り組みが共有されました。

詳細はこちらからご覧ください。

 

 

学校休業下の学び支援と授業づくりの取組を実践報告として形にまとめ、発信することが提案されました。実践報告のフォーマットが提示され、授業づくりを行う上での工夫や困難をまとめ、コロナに向き合う授業実践の記録を残す取組に着手しました。

 

 


 

第43回定例オンラインセミナー
「学校休業下の学び支援・授業づくりを考える(5)ー学校の新しい日常をいかに受け止め・つくっていくかー」

 

「学校休業下の学び支援・授業づくりを考える」シリーズ第5回目は、「学校の新しい日常をいかに受け止め・つくっていくか」と題し、これまでの休業下の取組を「第1フェーズ」として総括したうえで、これからの学校づくり・授業づくりを議論・展望する回となりました。62名の方が参加しました。教員の方々から寄せられた学校休業下の授業実践と取組の報告14件を検討・議論するパネル討議が行われました。14本の報告をこれまでEVRIが提案してきたEVRIフェーズOECDマトリクスを視点として分析結果が共有されました。また、社会科教科書執筆者からの挑戦状に対して子どもたちの作品が寄せられたことが報告され、さらなるフィードバックとしてさらなる探究を開く挑戦状が提示されました。

参加者との質疑応答では、パネル討議への応答がなされました。実践報告を提出された教員の方は、EVRIからの応答を受けて授業観が問い直され、今後のカリキュラムをどのように再編していくかを考える機会となったと述べました。教科書執筆の専門家からのフィードバックにより、子どもの学びに対する応答性の広がりとともに、教師の授業づくりのメタ認知も促されたことの意義が言及されました。また、学校再開後の学校と子どもの様子が「何か違う」という違和感と向き合っている現状が共有され「新しい日常」がすでに学校の中に始まっており、EVRIにおける新たな授業づくりの探究と更なる議論の重要性が提起されました。詳細かこちらをご覧ください。

「第1フェーズ」を締めるにふさわしい、休業下の取組を総括するパネル討議と質疑応答が展開され、シリーズ5回を通して提案と協議に参加してきた参加者・提案者に相互の健闘への拍手を送り合って、セミナーは閉会しました。

 

 


 

第1フェーズの総括:書籍『ポスト・コロナの学校教育:教育者の応答と未来デザイン』刊行

 

シリーズ五回分のセミナーでは、非常に多くの実践現場の声を集め、討議しあい、見通しのきかない時期を切り開いてきました。これまでの成果を書籍としてまとめ、ポストコロナの学校教育の在り方を提案します。アマゾンでオンデマンド出版をいたします。ご関心のある方はこちらへ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックは、既存の学校教育の枠組みに何を投げかけたのか。「ポスト・コロナ」の学校教育の模索の中で、わたしたち教育に関わる者は、子ども、教師、保護者、地域の声にいかに「応答」しながら、どのような学校教育と社会の未来を描いていくのかを問うた一冊となりました。

 


 

第2フェーズポスト・コロナの学校教育

 

7月以降は「ポスト・コロナの学校教育」と題して、第2フェーズのセミナーへと移行しました。2020年7月から2021年3月まで、セミナーをリレー開催いたします。(オンラインセミナーシリーズ一覧はこちらからご覧いただけます。


 

第44回定例オンラインセミナー
「ポスト・コロナの学校教育(1)―EVRI緊急出版物を読む―」

2020年7月23日(木)、定例オンラインセミナー講演会No.44を87名の参加をもって実施しました。

はじめに、司会の草原和博吉田成章より、第二フェーズ開催の趣旨が述べられました。続けて、木村優先生(福井大学教職大学院)、栗本和明先生(中華人民共和国北京日本人学校)、寺田拓真先生(広島県総務局付)より、EVRIが刊行した『ポストコロナの学校教育:教育者の応答と未来デザイン』(溪水社)のレビューをしていただきました。

木村先生はストーリー・コミュニケーション・ニューノーマルの三つのキーワードとともに同書の意義を論じました。教師、子ども、地域のコミュニケーションを触発させるOECDマトリクスの開発を評価し、学びと教えのニューノーマルを協働的に探究していくことの重要性を指摘しました。栗本先生は、同書でも紹介された北京日本人学校での取組のポイントを4点にまとめて指摘し、「全員が集う」という規範から離れた新しい授業の形を意義づけました。寺田先生は、はじめに同書を、いいことばかりが書かれたハッピーエンドに尽きる本ではなく、コロナ対策下の様々な登場人物のリアルな葛藤が描かれている点を、いい意味で「泥臭い」と評価し、今の学校を「しなやかで、したたかで、泥臭い学校」へリデザインしていくことが同書の魅力であると述べました。

続けて質疑応答に移りました。提案された学校のリデザインにおいて、履修制度をどう組み替えられるかという質問に対して、履修主義から習得主義への移行の重要性や、授業の参加度による評価ではなく、学習者の学びと育ちを見取る評価のあり方を考えていくことの重要性が指摘されました。そこでは具体的な子どもの姿を描いて教師達が共有することの大切さが確認されました。

最後に吉田成章・棚橋健司・草原和博より総括がなされました。

詳細はこちらからご覧ください。


 

第46回定例オンラインセミナー
「ポスト・コロナの学校教育(2)コロナ下の学校におけるコミュニケーション問題 ─あいさつから始業式まで─」

2020年8月22日(土)に定例オンラインセミナー講演会No.46を60名の参加をもって開催しました。

シリーズ「ポスト・コロナの学校教育」の第2回目となった今回のセミナーは,コロナ下の学校における「コミュニケーション」について,参加者のみなさまからのアンケート結果や実際の声をもとに、二部構成で開催されました。第一部は、新型コロナウィルスの感染拡大防止のために,「密集・密接・密閉」の回避が求められる現在の学校生活や教室場面において,「コミュニケーション」が変化してきているのではないかという、コーディネーターの間瀬茂夫氏からの問題提起および趣旨説明からはじまりました。

次いで,もう一人のコーディネーターである永田良太氏から,参加者への事前アンケートのまとめ報告が行われました。教師と子どものコミュニケーションより、子ども同士のコミュニケーションがより気になること,授業中ばかりでなく授業外のコミュニケーションも課題として認識されているというものでした。アンケート結果をふまえ、広島大学の尾形明子氏より,ソーシャルスキルの学習と発達に関するミニ講話およびコメントがなされ、その後,参加者からの質疑や提案が行われました。

第二部は,グループに分かれてのディスカッションが行われました。尾形氏から「コロナ下における制約された状況で,新たなコミュニケーションの力を学校で育むにはどうすればよいか」という問いが投げかけられ,それぞれのグループで活発な議論が行われました。

詳細はこちらからご覧ください。

 

 


 

第48回定例オンラインセミナー
「ポスト・コロナの学校教育(3
)コロナ下の学校におけるコミュニケーション問題 ─あいさつから始業式まで─」

2020年9月26日(土)に定例オンラインセミナー講演会No.48を開催しました。学校教員,大学院生,学生・院生など,52名の方が参加しました。

今回のセミナーは,COVID-19をどのように学校に持ち込み,教材として扱うかというトピックについて扱いました。セミナーは,コーディネーターの川口広美による事前アンケートの結果の紹介から始まりました。そこで,多くの教師にとってCOVID-19は「扱いたいけれど扱いにくい」という​状況であることが明らかになりました。

​この課題に対して,2人の中等学校の教員からの実践報告が行われました。1人目は佐藤甲斐氏による「保健体育科授業における感染症の取扱とCOVID-19」​という実践発表です。佐藤氏の実践は,全寮制という特質をもつ学校で,子どもがどのように主体的に感染症対策できるようにするか,という切実な課題に応えるものでした。実践では,子どもたちが「感染症啓発予防の動画」を作るというパフォーマンス課題に応えることを通して,「正しい」COVID-19の対策を考える際に必要な知識やスキルなどを獲得することを目的にしていました。

次いで,2人目は行壽浩司氏による「中学校社会科歴史的分野における「感染症」授業実践」という実践発表です。行壽氏の実践は,中世の終わり~近世を対象とし、天然痘や梅毒など「感染症」によって人々の生活システムが変化し、社会全体がパラダイムシフトしたことを検討していました。様々な学校行事が中止になり,社会が大きく変わっている状況を経験している子どもに対して,歴史という視点からの意義を示すことで,客観的に最近の状況を検討できる実践となっていました。

​両名からの実践報告を受けて,金鍾成氏と大坂遊氏から「どのような視点で教材化が行われたか」「教材化ではどのような判断が求められるか」に関しての論点整理が行われました。金氏からは,佐藤氏の実践が「コロナの中でどのように生活するか」という「コロナを考える授業」であったのに対し,行壽氏の実践は「社会の推移と繋がりを考える題材としてのコロナ」であった「コロナで考える授業」との整理が示されました。大坂氏からは,他の様々な実践事例の検討から「当事者or非当事者」「直接or間接」「自分ごとor社会ごと」「変容or代替」といった論点があり,実践を行う上では以上の論点をどう捉えるかが中心であることが明らかになりました。

参加者からの質疑の中では,全寮制という特性を持つ学校に対する周囲からの視線といった環境の問題,実践を受けての子どもたちの反応がどのようなものであったか,などの活発な疑問が示されました。セミナーでは,「扱いたいけど扱いにくい」COVID-19の教材としての特性に対し,学校がどのように向かい合うかが具体的に示されました。関心のある教師が繋がり,実践に向けてエンパワーされるセミナーとなっていたのではないでしょうか。

詳細はこちらからご覧ください。

 

 


 

第50回定例オンラインセミナー
「ポスト・コロナの学校教育(4
)ICTを活用したポスト・コロナの授業づくりを考える」

2020年10月24日(土)に定例オンラインセミナー講演会No.50「ポスト・コロナの学校教育(4)ICTを活用したポスト・コロナの 授業づくりを考える」を開催しました。学校教員、大学生・大学院生、教育関係者など、82名の皆様にご参加いただきました。シリーズ第4回目となった今回のセミナーでは、学校教育におけるICTを利活用したこれからの授業づくりに焦点を当てました。
平田篤史先生から、「SAMRモデルとICT利活用教育」と題したご講演をいただきました。岡本竜平先生から、「中・高等学校におけるICTを用いた授業実践-学習スタイルの多様性に着目して-」と題した実践発表をいただきました。網本貴一先生からは、「大学でのオンライン授業で見えてきたこと-理科(化学)の講義・実験・演習での実践を通して-」と題した実践発表をいただきました。参加者からは、「対面授業だからこそ伸ばせる力とは何かを改めて考える機会となった」、「どのようなICTの利活用ができるのか、多くの実践例を知ることができた」、「改めてオンラインツールを活用してみたい」、などの感想をいただきました。

 

「ポスト・コロナの学校教育」関連の書籍リストをまとめました

 

パンデミック以後、ポスト・コロナに関する書籍が多く出版されてきました。EVRIでは、これからの新しい教育を模索するための一助となることを目指して関連書籍を一覧にまとめました。こちらからご覧いただけます。

 

EVRIではこの先も「ポスト・コロナの学校教育」セミナーを開催してまいります。

シリーズセミナー一覧

 

 

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私たちEVRIは、EVRIの掲げるミッションとヴィジョンを達成するために、共同事業、共同研究、受託研究および講演等をお引き受けいたします。
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Tel & Fax: 082-424-5265
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