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【2020.12.26】第61回定例オンラインセミナー「ポスト・コロナの学校教育(6)「諸外国の現状から見た教師教育・教育研究の展望」」を開催しました

公開日:2020年12月10日 カテゴリー:開催報告

I.開催報告

2020年12月26日(土)に、第61回定例セミナー「ポスト・コロナの学校教育(6)─諸外国の現状から見た教師教育・教育研究の展望─」を開催しました。

「ポスト・コロナの学校教育」セミナーシリーズの第6回は,教育ヴィジョン研究センター及び広島大学教育学部共同研究プロジェクト「「ポストコロナの学校教育」の提起する学術知共創の可能性と課題」の主催,広島大学の異文化間教育推進室とIinternational Network of Education Institute(INEI)委員会の共催で開催されました。桑山尚司講師と丸山恭司教授を司会に、INEI事務局からChen Wang氏を基調講演者にお迎えし、広島大学附属中・高等学校長でもある鈴木由美子教授、異文化間教育推進室のBrett R. Walter講師とRussell S. Kabir准教授、Tinka Delakorda Kawashima講師を話題提供者として、35名の参加者を得て開催されました。

はじめに丸山恭司氏より趣旨説明が行われました。Covid-19から日本や世界の学校教育がどのような影響を受け,教師や教育研究者がこれにどのように応答していくかが議論される中,大学・教員養成機関の役割があらためて問われていることが指摘されました。これを踏まえ本ウェビナーでは,教員養成課程をもつ研究大学の国際的なネットワークINEIのシンポジウムの議論を紹介しながら,インターナショナルな文脈とナショナル/ローカルな文脈を交わらせることから見えてくる教師教育と教育研究の課題を検討したい旨の趣旨が述べられました。

まず,Brett R. Walter氏とRussell S. Kabir氏は,12月14日・15日にINEIが主催したシンポジウム”How is the Covid-19 global pandemic reshaping the debate on education?”の要旨を報告しました。同シンポジウムでは,1日目に韓国・シンガポール・日本・中国・オーストラリアの登壇者が,二日目にはカナダ,南アフリカ,ブラジル,アメリカの登壇者が,2020年下半期の教育実践や教育言説,研究や政策の状況を紹介しました。1日目の主な論点が,カウンセラーとしての教師の役割や,「学習の喪失(Learning loss)」に対するオンライン学習やハイブリッド学習の質的向上に向けられたのに対して,2日目は,資源分配の不平等や教育政策の批判的検討が論点となったことが報告されました。教師教育の課題としては,テクノロジの可能性と限界を意識した研修プログラムの開発,そして新任教師の支援が指摘されました。

Chen Wang氏は,はじめにINEIの設立の経緯と趣旨を紹介し、パンデミック下における教育研究機関の連携の重要性を指摘し,続けてパンデミックが学生・大学院生に与えた影響について報告しました。特に学生の流動性(Mobility)に着目して,留学の機会を失った学生や,留学先で研究と学習のアクセスを閉ざされた学生がいかにこの困難に向き合い克服しているかの考察が行われました。さらに対面での実施が通常とされてきた質的研究の困難さにも触れ,パンデミック下での海外在住留学生の困難と自己調整の姿をいきいきと描き出しました。

指定討論者の鈴木由美子氏は,広島大学附属中高等学の校長としての経験を踏まえ,教師教育と教育研究のあり方を提案しました。学校休業下でのオンライン学習の拡充とカリキュラム上の柔軟な対応などを紹介しつつ,この動向が各国の報告と重なるところが多いところを指摘しました。パンデミックを単なる一過性のものではなく,常に起きるものだと捉え,災害や緊急事態への対応を含んだ教師教育の必要性と,すべての子どもに学習権を保障する公教育の意義を今一度見つめなおすこと,そしてこれに関連した教育の平等性に関わる論点を提起しました。

Tinka Delakorda Kawashima氏は,出身地のスロベニアでのパンデミック下の状況を紹介しました。スロベニアでは早期にオンライン学習の環境が整えられ,教育実習ができなかった学生がポータルサイトで子どもと交流し学習支援が可能となる機会を開いていったことが紹介されました。広島大学での取組に触れながら,言語的・文化的に多様な子ども、障害児や社会経済的に不利に置かれた子どもに焦点をおいた教育の拡充の必要性を提起しました。

各報告と議論を通して,パンデミック下で各国の教師教育・高等教育機関が教育実践に向き合う時の共通の課題が浮かび上がり,さらにそれに対して多様な解決策が提案されてきたことが確認されました。EVRIもまたこのような国際的な動向を参照しつつ,ポスト・コロナの学校教育のあり方を提案してまいります。

.当日使用される資料
PPTs and PDFs

当日使用された資料を掲載しております。
You will be able to get access to PDF/PPTs that will be presented in the seminar.

Chen Wang (INEI Secretariat, University of Wisconsin-Madison)
International Perspectives on International Mobility and Educational Research in a Post-COVID era

Brett R. Walter & Russell S. Kabir (Hiroshima University)
Workarounds Worldwide: Brief Reports on the Institute of Education (IOE) Seminars Examining the Effects of Covid-19 on Teacher Education

 

Ⅱ.アンケートにご協力ください
Ask for your opinions

多くの皆様にご参加いただき、誠にありがとうございます。
ご参加の方は、事後アンケート(アンケートはこちらをクリックしてください)への回答にご協力ください。

Thank you for participating, we are kindly ask you to answer few questions regarding this semianar.
please click here so that you will find the page for questionary.


*第61回定例セミナーの告知ポスターはコチラです。

セミナーNo.61 日本語のサムネイルセミナーNo.61 英語のサムネイル

 

同セミナーに関連するプロジェクトページを以下のバナーからご覧いただけます

 


教育学研究科HPにも掲載されています

 


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