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【2024年始動!】EVRIの日常(2024.02.09更新)

公開日:2024年01月09日 カテゴリー:EVRIの日常

 

広島大学大学院人間社会科学研究科「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、ホームページやフェイスブックなどでさまざまな活動を広報しています。
このたび、より多くの方々に興味をもっていただけるよう、新たな情報発信をしていくことといたしました。

その名も【EVRIの日常】シリーズです!!

EVRIではどんなことが行われているのかについて、スタッフがブログのかたちでお伝えしていきます。
現時点では、以下のようなことをお知らせしていく予定です。

【EVRIの日常】主要コンテンツ
・教育学部研究棟B101(EVRI内)での活動・会議の様子
・国内/国外から訪問された方々との交流の様子
・セミナーや広域交流学習型オンライン学習の準備
・ブラウンバッグランチョン(BBL)のウラ話
・EVRIや広島大学の写真

 

第1回:2024年1月25日(木)
「なぜブラウンバッグランチョン(BBL)で教科教育を考えたのか~教育研究推進員・𠮷田純太郎さんへのインタビュー~」

 

記念すべき第1回目は、EVRIにおける「研究」に焦点を当て、教育研究推進員としてご活躍されている𠮷田純太郎さんへインタビューを行いました。以下では、これまで𠮷田さんが開催されてきたブラウンバッグランチョン(BBL)と今後の展開についてお聞きしています。

松原:𠮷田さんはこれまで4回にわたって「なぜ教科を教えるのか・学ぶのか」をテーマとしてBBLを開催してこられましたが、このテーマを思いついた契機について教えていただけないでしょうか。

𠮷田:実はこのテーマは教科教育学研究においては古くから議論されているテーマになります。なので特段変わったことをやろうとしているわけではないですよね(笑)。
ただ、今の教科教育学は、「教科教育学」を標榜しながらも、実際には各科教育学の集合体にとどまっている、というのが僕の問題意識です。本当は一般教科教育学として成立してほしいのだけれど、実際には社会科教育学、国語科教育学、数学教育学等々の人たちが集まっているだけ、という現状に危機感を覚えています。
じゃあ教科教育学として体系を確立させるためにはどうすればよいかというと、他の教科がいったい何をやっているのかということをしっかり知る必要があると思っています。あと僕自身不勉強なので、国語とか、数学とか、理科とか、英語とか、そうした人たちが何を議論してきたのかを知らないし、おそらく他の人たちも知らないことがあるのではないかという思いもありました。
また、広島大学大学院人間社会科学研究科には、いろんな教科の研究をしている院生がたくさん集っていますから、他の院生がどんなことを研究しているのか共有する場を作りたいし、僕自身勉強したいという思いで、計4回のBBLを設定・計画したところです。

松原:なるほど。では実施した4回を振り返って、率直に感じた手応えやご感想を教えてもらえないでしょうか。

𠮷田:実はあらかじめ登壇者には3つお願いをしていて、「なぜ教科を教えるのか・学ぶのか」について、(1)行政 (2)教師・子ども (3)教科教育研究という3つの視点から整理して報告してほしいということを伝えていました。

大きな成果は2つあると思います。1つ目は各教科の特徴・個性が対照的に表れていたということです。先ほどお伝えしたように、登壇者に統一的なお願いをしていたために、各教科の違いがくっきりと浮かび上がったように思います。例えば体育について取り上げた回では、学習指導要領が目指すところと、体育科教育研究が目指すところとはかなり重なっているんだという旨をご報告いただきました。これは僕にとっては「目から鱗」でした。ほかにも、2023年9月22日に報告していただいた国語科と音楽科の違いも顕著であったと思われます。「話す・聞く・読む・書く」の4技能を後天的に定着させようとする国語科と、先天的に人間は音楽的な存在であるというハーグリーブスの理論に依りながら、いかにして音楽を通じたコミュニケーションを行っていくかを探求する音楽科とでは、その性格が全く異なるということが明らかとなったところです。こうしたことはとっても大事だと思っていて、それぞれの教科の個性・特徴を尊重しながらも教科教育学を再編する、というのが今後の教育学研究に求められることだと思いますし、そのきっかけが得られたと実感しています。

2つ目の成果は、BBLの理念、つまり大学院生の「ヨコのつながり」を創ることが十分に達成できたというところになります。4回を振り返れば平均的に10名を超える参加者の皆様に集っていただけましたし、BBLが終了した後には参加者同士が交流して、ときには名刺交換をしている姿も見受けられました。「私はこんな研究をしているんです」とか、「私これまで体育を受けてきてこういうところに困ったんですがどうでしょうか」とか、そういったことをフランクに言い合える場を構築できたのは本当によかったと思っています。また、BBLに登壇した研究者や大学院生が今後の共同研究を生み出すきっかけを提供できていたらいいなと思います。なのでこれは野望ですけど、登壇してくれた方々と一緒に教科横断的な研究ができれば、BBLの成果として結実したといえるんじゃないかと思っています(笑)。

松原:今「野望」と言われていましたけども、2024年2月24日にはEVRI定例セミナーも控えておられますよね。今後の展望について教えてください。

𠮷田:BBLでやっていたのは、各教科の理念や目標について議論する回だったんですけれども、今度開催するセミナーはまたベクトルが少し違います。今度のセミナーは「複数教科の教員免許を取得した人に関する研究」をやります。いろんな教科にまたがって議論しようという試みです。私も数学と社会の免許を持っているのですが、このように複数教科の免許を取得した人たちがどのような教科観をもっているのか、ということ議論します。
現在、教員不足が深刻になるなかで、教員免許を取得していなくても「先生」になることができる時代がやってきていると思うんですね。例えば、特別免許状を与えたりとか、教科外免許担任制度とか。免許がなくても授業ができてしまうっていう。そんな免許そのものの価値が揺らぎつつあるなかで、敢えて複数教科の免許を取った人たちを扱うことで、教科教育研究の社会的責任を問えるのではないかと考えています。免許に関する研究は教育行政学でもやるのだけれど、そもそも免許を取得するためのカリキュラムはどうあるべきかという議論はおそらく私たちの役目だろうというふうに思っていますし、だからこそこれに取り組もうと考えています。また、各科教育学の集合体にとどまっている教科教育学を再編するという意味でも複数教科の免許を扱うことには意義があると思います。そして、教科教育学とは何なのか、どうあるべきかということを各教科を尊重しつつ議論していく、というのが僕の展望になっています。

高須:すでに大坂遊先生がSNSでセミナーの告知をしていて、特に教師教育系の方面から注目が集まっていますよね。私も期待しています。

(聞き手:松原信喜高須明根)

第2回:2024年2月9日(金)
「EVRI教育研究推進員の経験を今後どのように活かしていくか~教育研究推進員・小野創太さんへのインタビュー~」

第2回の記事は、EVRI教育研究推進員の小野創太さんへのインタビュー記事です。小野さんは、EVRIにて租税教育を担う教員の養成プロジェクトや、ブラウンバッグランチョン(BBL)の企画・運営を中心にご活躍されてきました。インタビューではこれまでの教育研究推進員としての経験や、ご自身の今後の展望についてお聞きしています。

高須:これまでの教育研究推進員としてのご経験で、特に印象に残っていることはどんなことでしょうか?

小野:租税教育のプロジェクトですね。教材研究からプロジェクトに関わり、講義の内容をどのようなものとするかについてすごく考えました。実際に税理士の方ともお会いし、どういうふうに授業に参加してもらおうか、ということをプロジェクト担当の川口広美先生と計画・議論しました。学外の方々とどのように関係を築き、どのように関わっていくかという点でも勉強させていただきましたね。
加えて、授業の内容を開催報告文としてホームページ(HP)に載せるときには、どんな内容が読んでもらいやすいのかについて考えました。研究論文を執筆するときは専門用語を使ってもよいけれど、HPに書くときにはそうはいかないよなとも思いつつ。そこは川口広美先生にも相談させていただきましたし、他の推進員の方々にも聞いたりもしていました。なので、「プロジェクトを発信する側としての視点」についても特に学ばせていただきましたね。

高須:一方でこれ以上できたらよかったと思う点はありましたか?

小野:うーん、そうですね。今回、教育研究推進員の𠮷田純太郎さんが複数教科の教員免許取得に関するセミナーを開催されますよね。そこについて僕はできてはないと思うんですよね。BBLの機会をいただけてそこでは開催したけれども、自分の研究関心と関連付けてそれを広くアウトリーチしていくっていうのはもう少しできたらよかったなと思います。セミナーに関して、今後担当させていただくっていうのは十分あり得るというか、ぜひそうしたいと望んでいます。特に「困難な歴史について教える」をトピックとしたセミナーは今後続けていく構想もあると金先生から聞いているので、ぜひやりたいですね。

高須:次は大学教員という立場になることと思いますが、ここでの経験をどんなかたちで生かしていきたいですか?

小野:ひとつは、EVRIにいたことでプロジェクトを内部からどのように動かしていくのかについて学んだということですね。先生方の動きからは資金面についても勉強になりましたし、また設備の面をどうするか、スタッフの配置をどうするかというのは、ここに居ないとわからなかったと思います。もし博士課程院生がプロジェクトをやろうとしても、それはすごく小規模なものになると思うんですよね。なのでなかなか個人でやろうと思っても限界があるかなと。なので、EVRIにいたからこそ学べたことだと感じています。
もう1点は、どのようにICTを活用するかということについてですね。大学での設備って限界もあると思いますし、いろいろなところに発信をしていくとなったときに、限定された設備でどうするかという問題になると思うんです。そのときに、同じ機器の操作や同じソフトウエアの操作でもいろいろなやり方があることを知ることができて、さまざまな可能性があるってことを教えてもらいましたね。今後研究者としてやっていくときに、成果を公にしていく場面でどのようにしたらよいのかに関して、本当に参考になる時間だったなと思います。

高須:最後に、EVRIに期待したいことやEVRIに対する思いはありますか?

小野:僕は主に全国社会科教育学会に参加しているんですけど、近しい人たちだけで集まっているのではないかなっていう問題意識が少しあるんですね。一方でEVRIの2024年2月4日の「困難な歴史を教える」セミナー(No.154)に出席してみて、ほんとうにいろいろな民間の方々が来られていたのに気が付いて。これは金先生のつながりだけではなくて、EVRIという拠点が周知されていることだと思うんです。そのとき、EVRIにはコミュニティを広げていける可能性や役割があるのではないかと思って。ほかのセミナーをみていてもそう思います。なので、研究と実践をつなげるコミュニティとしての可能性もすごくあるんだろうと感じています。そういった拠点として存在感が増すことでEVRIがますます発展していくんだろうと思います。

高須・松原:ありがとうございます。ぜひ今後もEVRIになにかしらのかたちで関わっていただければと思っております。

(聞き手:高須明根松原信喜

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