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Introduction
はじめに

プロジェクトの概要

本ページでは、広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)が、東広島市教育委員会と連携して行う、市内複数の小学校・中学校をオンラインで結んだ広域交流型オンライン学習について紹介します。

事業概要
●事業テーマ  : 広域交流型オンライン学習
●連携協力機関 : 東広島市教育委員会

●事業目的・内容:
【小学校】東広島市地域学習用デジタルコンテンツ「のん太の学び場」や小学校社会科副読本「わたしたちの東広島市」などを活用し,市内の小学校・学習対象となる施設・広島大学等をオンラインでつないだ遠隔授業を実施することを通して,質の高い協働的な学びを実現する。
【中学校】小規模校等と離れた学校をつなぎ,生徒が合同で学ぶことで,小規模校だけでは困難な,対話や議論を通じて見方・考え方や集団としての意見を形成したり,多人数相手に説明したり発表したりする活動を通して,相手意識をもったコミュニケーション力の育成を図り,質の高い協働的な学びを実現する。

 

(広島大学オープンイノベーション事業本部作成の動画)

広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)は2021年度から、東広島市教育委員会と連携して、市内複数の小学校をオンラインで結んだ広域交流型オンライン学習を開始しました(プロジェクト代表者:草原和博教授)。GIGAスクール構想の推進によって実現した子どもたちの「1人1台」端末と学校のICT環境を活用して、市内各地からの中継を交えながら、東広島市の地理・歴史・政治・経済・文化などについて対話的・双方向的に学びます。さらに、この学びを広島大学の教員と大学院生がコーディネートします。2023年度からは対象を中学校にも拡大します。

プロジェクトの実施にあたっては、参考コンテンツとして、EVRIが東広島市立図書館の依頼を受けて開発した「東広島市地域学習用デジタルコンテンツ(通称「のん太の学び場」)」を活用します。(「のん太の学び場」の作成についてはコチラ

これまでの取り組みの成果の一部は,論文として下記のとおり公表しています。

  • 草原和博(2021)「越境的対話による教科教育の教室空間の変容―社会科を例に―」『中国四国教育学会第73回大会シンポジウム成果報告書・資料集』,pp.13-20.
  • 宇ノ木啓太(2022)『オンライン学習を導入した社会科地域学習の変革―理解主義の課題の克服を目指して―』広島大学大学院人間社会科学研究科修士論文.
  • 草原和博(2022)「学びの民主化ツールを活用して地域学習を変革する」『社会科教育』明治図書,2022年3月号,pp.10-13.(明治図書ONLINE教育記事データベースより記事をご購入いただけます▶こちら
  • 草原和博(2022)「越境的対話による教科教育の教室空間の変容―社会科を事例に―」中国四国教育学会『教育学研究ジャーナル』第27号,pp.47-52.(J-STAGEよりどなたでも論文を閲覧いただけます▶こちら
  • 草原和博ほか(2022)「広域交流型オンライン社会科地域学習の取組」広島大学教育ヴィジョン研究センター・草原和博・吉田成章編『教育の未来デザイン―「コロナ」からこれからの教育を考える―』溪水社,pp.122-131.(書籍の詳細については「ポスト・コロナの学校教育を提起する」ページをご参照ください▶こちら
  • 吉田純太郎・宇ノ木啓太・草原和博(2022)「越境的な遠隔教育を子どもはどう受け止めたか―東広島市「広域交流型オンライン社会科地域学習」参加児童のアンケート回答から―」『広島大学大学院人間社会科学研究科紀要 教育学研究』第3号,pp.81-90.(広島大学学術情報リポジトリよりどなたでも論文を閲覧いただけます▶こちら

目 的
広島大学教育ヴィジョン研究センターが開発した「のん太の学び場」(東広島市地域学習用デジタルコンテンツ)と東広島市教育委員会作成の小学校社会科副読本を効果的に連携させた広域交流型オンライン社会科地域学習の実施を通して 児童の主体的 対話的で深い学びを創造する。

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広域交流型オンライン社会科地域学習の紹介スライドはこちら(PDF)

実施内容
〇広島大学は,遠隔授業の全体進行,事前打ち合わせ,現地調査の実施日及び内容の決定を行う。参加する学校には,技術的なサポート要員(大学院生・学生)を派遣し,授業準備,授業支援並びに後片付けを行う。
〇東広島市教育委員会は,実施校との事前連携,事後フォローアップを行う。
〇各学校は,各教室での児童生徒への指導を行う 。
1年間の計画案


日本の3つの場所に注目!自然と人々のくらしを比べよう(2023年5月17日)(クリックすると開きます)
5月17日 :「日本の3つの場所に注目!自然と人々のくらしを比べよう」
実施体制(敬称略)
  • 授業実施者:草原和博
  • 授業補助者:各小学校での授業担当教員
  • 勝梅園からの中継:田中崚斗,澤村直樹
  • 学校技術支援担当(東広島市内小学校):海老名和華,小野郁紀,片岡望咲,國重和海,黒岩佳太,近藤郁実,重野聖怜,谷野善則,服部美紀,藤原武琉,松原信喜 ,村上遥大,山本亮介
  • 学校技術支援担当(徳之島町立花徳小学校):川本吉太郎
  • 学校技術支援担当(北海道教育大学附属釧路義務教育学校):玉井慎也,亀田真奈歌,岸本考史,瀬川正義,細野暉紘
  • 事務局機器担当①(広島大学):小野創太,草原聡美,髙須明根
  • 事務局機器担当②(川上小学校):内田智憲,両角遼平,吉田純太郎

 

2023年5月17日,東広島市内小学校9校17学級(寺西小学校,川上小学校,原小学校,吉川小学校,志和小学校,高美が丘小学校,下黒瀬小学校,豊栄小学校,河内小学校)の4年生(507名)と鹿児島県徳之島町立花徳小学校1学級,北海道教育大学附属釧路義務教育学校2学級の4年生(55名)が参加し,「自然と人々のくらし」をテーマとする遠隔授業を実施しました。今回は広域交流型オンライン学習企画初の取り組みとして,東広島市の小学校と,広島県外の小学校を接続しました。参加校の位置を活かして,「3つの地域の農業で,「とれる作物」「つくる時期」が違うのはなぜだろう?」をテーマに,気候や地形の違い,それに合わせた農家の工夫を探究しました。

1時間目は,まず「3つの地域」に関する違いを捉えることからスタートしました。この時間では児童が各地域の地元自慢をしあいます。日本の南西に位置する徳之島町からは,学校の周辺にハイビスカスが咲いたりパパイヤがなったりしていること,桜の開花は1月下旬で,5月には海開きが行われることなどが紹介されました。一方で冷涼な北海道釧路市では,5月に桜が満開になったことが伝えられました。さらに東広島市からは,米づくりや酒造りが盛んで,ちょうど田植えが始まった様子が示されました。3つの地域が同じ日本にありながらも,季節感が大きく異なることを認識しました。そして,学習課題として「3つの地域を農業に注目して,徹底的に比べていこう」が設定されました。
次に,「3つの地域における農業の違い」を探究していきました。ここでは,米・ジャガイモ・さとうきび・りんご・バナナの5作物が,3つの地域で「とれる」「とれない」を予想します。児童らはGoogleフォームを通じて,各作物が3つの地域で作られているかを予想し,回答していきました。
予想が集まったら答え合わせです。草原教授から各地域の事実が示されました。米は東広島市でとれますが釧路市や徳之島町ではとれません。ジャガイモは東広島市,釧路市,徳之島町の全ての地域でとれますが,とれる時期は違います。さとうきびは徳之島町でとれますが,東広島市や釧路市ではとれません。りんごは東広島市でとれますが,釧路市や徳之島町ではとれません。バナナは東広島市や徳之島町でとれますが,釧路市ではとれません。これらの事実を知った児童からは,「なんで米が全国でとれないのか」「なんでリンゴやバナナが東広島市でとれるのか」「なんでジャガイモはとれる時期が違うのか」などの「不思議」や「変だな」が示されました。これらの疑問を受けて,「3つの地域で「とれる作物」「つくる時期」が違う理由」を探究していこう!という学習課題が設定されました。

2時間目は,農業生産が3つの地域で異なっている理由について,仮説を立てるところから始まります。各学級から出た仮説はGoogle ジャムボード上で一斉に共有されました。その結果,多くの児童が,作物の採れ方が違う理由として「気温」を挙げていることが明らかになります。そこで,とれる作物や時期が違うのは,本当に気温なのかを検証していくことになりました。
まず調べたのが,ジャガイモの作り方です。ジャガイモは3つの地域で共通にとれますが,栽培時期が異なります(釧路は夏,徳之島は冬,東広島は夏と冬の2期作)。そこで,3つの地域の月別気温を示した折れ線グラフを見て,3つの地域は気温が違うこと,北ほど温かく,南ほど寒いこと,各地域ではジャガイモの生育気温(15度から20度)にあう季節にそれを栽培していることに気づきました。ジャガイモを手がかりに,仮説のとおり,気温と緯度が農業の違いに影響していることが分かりました。
次にリンゴの作り方を調べました。児童らの仮説に反して,緯度がさほど高くない(北ではない)東広島市でもリンゴが育てられています。それはなぜか。りんご栽培で有名な豊栄小学校の児童が率先して,その理由を説明しました。豊栄町は,標高が400-500mと高いために涼しいこと,特に冬になると10~30cmの積雪もあり,リンゴの生育に適した地域であることが説明されました。リンゴを手がかりに,緯度だけでなく標高も,気温と農業の違いに影響していることが見えてきました。
最後にバナナと米の作り方を調べました。なぜ暖かくない東広島でなぜバナナが育つのか,なぜ暖かい徳之島で米を作っていないのか。なぜ北海道は米どころなのに釧路では米を作っていないのか。緯度や標高だけでは説明できない農業の違いを,地域住民へのインタビューを通じて探究していきました。東広島のバナナ農園(勝梅園)では,ビニルハウスや加温機を使って年中暖かい気候を人工的に作っていること。徳之島では,1970年代の減反政策の影響で,米づくりから儲けの大きいサトウキビに転作したこと。釧路では,寒い気候と国の方針を受けて,米づくりから牛の飼育に変更したことが分かりました。このような事例から,農業の違いには人々の技術や国の政策が影響していることが見えてきました。
授業の最後に,「とれる作物やつくる時期を決めている『自然の力』と『人間の力』では,どちらが大きいか」を検討しました。2つの言葉の間に不等号を入れる活動をしたところ,約6割の児童が「自然の力」が大きい,残る約4割の児童が「人間の力」が大きいを支持しました。川上小学校の児童に理由を問うと,「自然の力のほうが大きい」「でも勝梅園のように人間の工夫で暖かい気温をつくることができる」「でも自然を無理やり変えるのにはお金がかかって大変,自然の力は大きい」…と自分たちの意見が次々飛び出しました。こうした自然条件(緯度・標高)と人文条件(技術・政策)の強さをめぐる論争は,これからの米づくりの学習にもつながっていくことでしょう。

2時間の学習を通して,児童の「自然と人々のくらし」に対する認識は次第に洗練されていきました。とくに「(徳之島で1月に桜が咲くことを聞いて)え~?」,「(東広島のビニルハウスの温度計の40度を見て)すご~!」「(釧路の教室にストーブがあることを見て)わ~!」。これらの児童の声は,様々な地域とつながることで得られたリアルな地域認識です。本授業は,教科書の世界や居住地域に閉ざされることなく,他の地域・他の県に地域認識を開いていくことで,5年生なりの「地理的な見方・考え方」を育てる社会科授業を提起した点に意義があります。


社会の見方・考え方を学び,社会をより深く理解しよう!(2023年5月24日)(クリックすると開きます))
5月24日 :「社会の見方・考え方を学び,社会をより深く理解しよう!」
実施体制(敬称略)
  • 授業実施者:金鍾成,草原和博
  • 授業補助者:各小学校での授業担当教員
  • 学校技術支援担当:小野郁紀,片岡望咲,國重和海,黒岩佳太,重野聖怜,両角遼平,山本亮介
  • 事務局機器担当(広島大学):草原聡美
  • 事務局機器担当(志和中学校):内田智憲,岡井美咲希,川本吉太郎

 

2023年5月24日,東広島市内中学校4校5学級(志和中学校,福富中学校,豊栄中学校,河内中学校)の1年生(99名)が参加し,「地理的・歴史的な見方・考え方」をテーマとする遠隔授業を実施しました。蕎麦屋と教室,一万円札,さらにはG7広島サミットなど様々な社会的事象を手がかりに,地理学者や歴史学者が働かしている見方・考え方を習得し活用することを目指しました。授業全体の進行を金鍾成准教授が,解説を草原和博教授が務めました。

本時は,大きく3段構成で展開していきました。
第1に,地理的・歴史的な見方・考え方の存在に気づく段階です。日常的に目にする事物であっても,地理学や歴史学の観点で考えてみれば,より鋭い捉えをすることができるようになります。そこで東広島市の水道料金を例に,私たちはどのような見方・考え方を現に働かせることができるかを確認するところから始まりました。
具体的には,①東広島市の航空写真,②東広島市の地形図,③1990年から2020年の東広島市の人口変化,④広島県のダム分布の4つの資料をもとに,「東広島市が市外から水を買っている理由」について生徒らに予想を求めました。生徒は前日までに予想を試みており,その答えを発表するところから授業はスタートしました。生徒からは「人口が増加して水が足りなくなったからではないか」「東広島市には山や川が少ないからではないか」「水をダムに貯めすぎているからではないか」といった予想が示されます。これを受けて,草原教授は,地理的には,人間だけでなく,農業や工業のための水の使用にも注目してみてはどうか,歴史的には,戦前に開発された水源池の存在も見逃せないのではないか,といったコメントが示されました。地理学や歴史学に精通しているからこそできる捉えです。これらのやりとりを通して,今みんなが持っている見方・考え方をもっと洗練させてほしいとの呼びかけがあり,学習課題として,「社会の見方・考え方を学んで,(地理学者や歴史学者みたいに)社会をより深く理解しよう!」が設定されました。

第2に,地理的・歴史的な見方・考え方を習得する段階です。下に示す代表的な10の視点・方法の獲得がめざされました。
【地理的な見方・考え方】
①位置(どこか)
②場所(そこには,何があるか)
③人間と環境の相互作用(そこにあるものには,どのような関係にあるか)
④移動(そこにあるものは,他の場所とどのように結びついているか)
⑤地域(そこはどのようなところか。どのように変わってきており,どのように変わっていくか。)
【歴史的な見方・考え方】
⑥時期・年代(いつか)
⑦変化(それは,どのように変わってきたか)
⑧類似と差異,比較(それらの出来事は,何が似ていて,何が違うか)
⑨相互の関連(その出来事は,他の出来事とどのような関係にあるか)
⑩現在とのつながり(その出来事は,今にどういう影響や教訓を与えているか)

まず地理的な見方・考え方を獲得させるために,東広島市内の(田園の中にポツンと一軒ある)某蕎麦屋が取り上げられました。具体的には,①蕎麦屋の外観・内装を映した映像,②店の立地がわかる航空写真,③店の外に置いてある石(小学校跡と刻まれている),④天ぷら蕎麦を食べに来た客の写真,の4点です。生徒はこれらを見て気になったことを「問い」に表す活動に取り組みました。生徒は,Google Formを通して問いを提出し,各学級の担当教員は,問いの一覧を眺めながら,教室代表の問いを選んでジャムボードに入力しました。さらにその問いの中から特に注目するべき問いを金准教授が選抜し,その問いに働いている地理的な見方・考え方を草原教授が解説していきました。生徒のつくった問いと地理的な見方・考え方は,下のようになりました(「地域」の問いは,草原教授から提示されました)。
・「蕎麦屋はどこにあるのか」(位置)
・「周りになにもないところに蕎麦屋があるのはなぜだろうか」(場所)
・「天ぷらの材料はどこのものを使っているのだろうか」(人間と環境の相互作用)
・「蕎麦屋の客はどこから来ているのか」(移動)
・「蕎麦は地域の中心産業なのだろうか」(地域)

次に歴史的な見方・考え方を獲得させるために,教室のイメージ図が取り上げられました。具体的には,①江戸時代の寺子屋を描いた絵,②明治時代の小学校の教室を描いた絵,③現在の教室風景の写真,3点です。生徒は,地理と同様に気になったことを「問い」の形に表していきました。生徒つくった問い歴史的な見方・考え方は下のとおりです(「変化」の問いは,草原教授から提示されました)。
・「学校はいつ始まったのか」(時期・年代)
・「学校に行ける子どもの数は増えたのか,減ったのか」(変化)
・「江戸時代は筆を使っていたのに,明治時代は鉛筆を使っていたのはなぜか」(類似と差異,比較)
・「寺子屋の先生が刀をもっているのは,なぜか」(相互の関連)
・「(今だったら整然と整列して授業を受けないと怒られるのに)なぜ寺子屋の子どもは散らばって自由に勉強をしているのだろうか」(現在とのつながり)

このように生徒の素朴な問いから地理的・歴史的な見方・考え方がたくさん抽出され,無意識のうちに私たちが働かせている地理的・歴史的な見方・考え方に気づくことができました。また,見方・考え方の解説では,草原教授が10の見方・考え方を図式的に表現したり,赤色(地理)と青色(歴史)の帽子で働かせている見方・考え方の違いを可視化することで,見方・考え方のメタ認知を一層促すことが行われました。

最後に習得した地理的・歴史的な見方・考え方を活用する段階です。先の活動で獲得した10の見方・考え方を働かせて,問いを生成する活動に取り組ませます。
1つは,新現旧の3枚の1万円札です。聖徳太子,福沢諭吉,渋沢栄一がそれぞれ描かれた1万円札のデザインを参照しながら,生徒は問いづくりに努めました。活動時間が限られていたものの,生徒からは「なぜお札の真ん中に丸が描かれるデザインは変わっていないのか(比較)」「なぜお札の人物は変わるのか(変化)」「どのようなことをしたら1万円札に載ることができるのか(現在とのつながり)」などの問いが示されました。資料の特性上,歴史的な見方・考え方を働かせる問いが続いたので,草原教授より地理的な見方・考え方を1万円札に働かせた問いの例が示されました。
もう1つは,広島G7サミットです。地理的・歴史的な見方・考え方を日常生活で使うとすると,どういう場面が考えられるだろうかと問いかけると,ある生徒は次のように答えました。「地理的な見方・考え方を使えば。『なぜヒロシマという場所でサミットが行われたのか』という問いを考えることができる」。この答えに触発されて,「G7サミットにはどこの国が来ているのだろうか(位置)」「G7サミットはいつから始まったのだろう(時期・年代)」「サミットの参加国の数は,どのように変わったのか(変化)」,「G7サミットは,なぜ始まったのか。当時のどんな出来事と関係しているのか(相互の関連)」「G7広島サミットの会場が元宇品になったのはなぜか(移動,人間と環境の相互作用)」,このような問いを草原教授が例示していきました。様々な地理的・歴史的な見方・考え方を働かせることで,G7について新しい世界が浮かび上がり,生徒は見方・考え方の有用性を実感できたと推測します。

地理的・歴史的な見方・考え方は抽象的な概念であり,教えること・学ぶことに困難さを抱いている学校も少なくないようです。今回の授業の意義は,見方・考え方それ自体を独立して取扱い指導するモデルケースを提案した点にあります。「問い」をつくる活動を何度も繰り返し,見方・考え方を①自己認知→②個別習得→③総合活用→④日常活用させる流れは,本授業のねらいにふさわしい構成ではないでしょうか。
なお,今回の授業は,「東広島市広域交流型オンライン学習」を中学校に拡張した初めての取組でもありました。小学校とは異なり,中学生ならではの高い表現力や高いICTスキルを活かすことで,対話的な学びを,教室を越えて実施できる見通しが得られました。小規模校を結ぶことで,他学級の生徒から,自分たちだけでは気づかない斬新な視点が得られる効果も確認できました。今回の経験と成果を,7月に予定されている中学3年公民的分野「社会の見方・考え方」の授業開発に活かしてまいります。

Newsメディア報道


[新聞] 2023年5月27日 中国新聞朝刊 24面
「小中オンライン授業充実へ 広域の遠隔授業や海外交流」
2023年5月期(中学校)「地理的・歴史的な見方・考え方」の授業実践が中国新聞で紹介されました。


[新聞] 2023年5月19日 釧路新聞 10面
「東広島、徳之島の特徴は 附属前期5年生 オンラインで交流」
2023年5月期(小学校)「自然と人々のくらし」の授業実践が釧路新聞で紹介されました。

 [新聞] 2023年5月18日 奄美新聞
「広域交流オンライン学習 釧路―東広島―徳之島、南北2200キロ 鹿児島県徳之島町立花徳小など11校562人」
2023年5月期(小学校)「自然と人々のくらし」の授業実践が奄美新聞で紹介されました。

[市広報] 2023年4月1日 東広島市
広報紙「広報東広島」にて、広域交流型オンライン社会科地域学習が紹介されました。
p.2では,特集「新しい時代をリードする『やさしい未来都市』の」実現」の中で,本企画が言及されました。
裏表紙「まちのわだい」欄では,2023年2月期「外国人市民」の授業実践が報告されました。
東広島市ホームページより紹介記事をご覧いただけます。▶︎こちら


[新聞] 2023年3月2日 The weekly PressNet Vol.1136 5面
「ちょっと拝見!東広島の教育現場―質の高い学びの場! 大学と連携した授業―」
The weekly PressNet 2023年3月2日号の学校教育特集記事の中で本企画の取組が取り上げられました。


[市広報] 2023年3月1日 東広島市
広報紙「広報東広島」にて、広域交流型オンライン社会科地域学習が紹介されました。
p.6では,特集「「Town&Gown構想でつくる東広島!」」の中で,本企画が紹介されました。
東広島市ホームページより紹介記事をご覧いただけます。▶︎こちら


[Web] 2023年2月27日 The weekly PressNet 東広島デジタル
「【東広島の特色ある学校教育】大学と連携した学習、ここがすごい!」
The weekly PressNet 東広島デジタルで本企画の取組が取り上げられました。ウェブ上で紹介記事をご覧いただけます(2023年3月29日時点)。▶︎こちら


[TV] 2023年2月22日(18時10分~19時00分)NHK総合「お好みワイドひろしま」
「オンライン授業 “外国人が暮らしやすいまち”考える」
2023年2月期「外国人市民」の授業実践が放送されました。NHK NEWS WEBより放送内容をご覧いただけます(2023年3月29日時点)。▶︎こちら


[Web] 2021年3月7日 Town & Gown Office
コモンプロジェクト : 広域交流型オンライン社会科地域学習(広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI))」

Town & Gown Office(タウン・アンド・ガウンオフィス,TGO)は,広島大学・東広島市が推進するTown&Gown構想に基づき,地域の発展と大学の進化を目指して活動しています。広域交流型オンライン社会科地域学習はTGOの「コモンプロジェクト」に認定されています。2022年2月期「大学と市の移り変わり」についてはTGOのホームページにてご紹介いただきました。


[新聞] 2021年7月1日 The weekly PressNet Vol.1056 2面
「見学の代わりに大学生が中継 東広島市5つの小学校オンラインで一緒に地域学習」
2021年6月期「コミュニティバス」の授業実践がThe weekly PressNetで紹介されました。


[新聞] 2021年6月23日 中国新聞朝刊 24面
「5小参加 広域交流型授業 東広島 中継で地域のバス学ぶ」
2021年6月期「コミュニティバス」の授業実践が中国新聞で紹介されました。

※中国新聞の記事については,「中国新聞PLUS日経テレコン21」より内容をご確認頂くことができます(要会員登録)。また,広島大学の図書館のPCもしくは学内サーバーから広島大学図書館のデータベースページを経由して「中国新聞PLUS日経テレコン21」にアクセスすることで、どなたでも無料で記事を閲覧することができます。

 

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