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※【2023/06/29追記】動画が再生できない不具合,および一部リンクのリンク切れを確認したため修正しました。本アーカイブを活用されている皆様にご不便をおかけしたことをお詫びいたします。

1.アーカイブ開発の経緯と目的

「ヒロシマの平和教育者-「私の平和教育を語る」アーカイブ」(以下,「平和教育者アーカイブ」と略)は,ヒロシマ(広島市に限らない,ヒロシマにゆかりのある土地)の地で平和教育に携わってきた教育者への聞き取り記録である。

アーカイブ開発の経緯と目的についての解説を読む(クリックすると開きます)

本アーカイブ開発のきっかけは,広島大学教育ヴィジョン研究センター(Educational Vision Research Institute,以下「EVRI」と略)が2020年より海外の有力大学の研究者を招いて開催してきた「平和教育と授業研究に関する国際セミナー(Peace Education and Lesson Study for Teacher Educator,以下「PELSTE」と略)」にある。コロナ感染症の世界的な拡大で,やむを得ず対面でのPELSTEは中断したが,オンラインでの継続を模索した。その過程で,オンライン参加者のための予習教材の開発に着手したが,その1つが「平和教育者アーカイブ」だった。来広して直接聞き取りができない参加者ための代替手段であり,はじめは僅か3人のアーカイブからスタートした。

その後,EVRIの平和・市民性教育ユニットの関係者を中心に,本企画の価値や可能性が認識されるようになった。PELSTEの予習教材としてのみならず,平和教育のアーカイブとして,それ自体を独立して拡充していく必要性を確認した。2020年より毎年3名のペースで平和教育者への聞き取りを続け,3か年で10名の動画作成を目指した。そして2022年12月に第一次的な完成を見た。本ホームページはその成果である。

「平和教育者アーカイブ」は,以下の4点を目標としている。

(1)その時々の国際関係や国家の制度・政策の影響下で,地域社会の課題や矛盾に向きあいつつ,自己の信念や専門性を踏まえて平和教育を実践してきた教師の主体性(agency)を,それぞれのライフヒストリーから描き出すこと。

(2)(1)の記録を蓄積することで,ヒロシマの戦後教育史を多面的・多声的に捉えるアーカイブを構築すること。ヒロシマの平和教育の理念と実践の普遍的価値と個別的特色を究明する手掛かりを提供すること。

(3)(2)のアーカイブを教師教育に役立てること。教員志望者に,ヒロシマの平和教育実践の意義や課題を歴史的な文脈から理解したり,自己の平和教育観を確立したりするための機会と資料を提供すること。

(4)将来的には教員志望者に平和教育者への聞き取りや動画編集を委ねること。その際には,ヒロシマに限定することなく世界各地で活躍する平和教育者の語りを記憶化するアーカイブを開発すること。そうすることで(3)を拡充すること。

なお,「平和教育者アーカイブ」の開発には,以下のものが主に従事した。

・ 企画・監修  : 草原和博川口隆行丸山恭司

・ 聞き取り   : 小松真理子川口隆行

・ 動画編集   : 宮本勇一(2020年),吉田純太郎(2021-2022年)

・ 事務・調整  : 草原聡美

・ HPデザイン : 大坂遊

 

2.聞き取りの視点と編集の手続き

ここでは,聞き取りを行った平和教育者の選定の仕方と,聞き取った内容の編集手続きについて述べる。

聞き取りの視点と編集の手続きについての解説を読む(クリックすると開きます)

聞き取り対象者の選定にあたっては,開発グループの人間関係(人脈)に依存したことは否めない。信頼関係をもってお話が伺えることを優先した。しかし,それでもなお意識したのは,平和教育に対する立場・考え方,世代,専門分野(教科),学校種,これらの多様性を保証することである。ジェンダーバランスにも留意したが,現時点では十分とは考えていない。

今後は,学校教育以外の領域でヒロシマの平和教育に携わってきた方,広島県以外の土地でヒロシマの平和教育に関与されてきた方,そしてアジア各国でヒロシマの平和教育に関心を寄せてきた方,へのアプローチが必要であろう。

聞き取りにあたっては,以下の5つの質問項目を用意した。ただし,相手との対話の過程で柔軟に話題を広げていった。

・ 教職を目指したきっかけをお聞かせください。

・ 教師として「平和」「広島」をどのように教えてきましたか。

・ 「平和」「広島」を教える上で特に大事にしてきたこと(ねらい)と,それを教える上での困難や励みを教えてください。

・ ご自身の視点から見て,「広島の平和教育」とは何だったのでしょうか。

・ 世界の教育者に向けてメッセージをお願いいたします。

動画記録の作成にあたっては,以下の手順を踏んだ。

第1に,撮影前の事前調査である。公開資料を収集し,略歴の作成を試みた。聞き取り担当者間で資料を共有し,経歴と特徴的な実践について確認をした。必要に応じて対象者に予備的なインタビューを行ったこともある。

第2に,撮影本番である。対象者の自宅を訪問し,またはご本人ゆかりの施設をお借りして,60-90分を標準とする聞き取りを行った。聞き取り後,動画編集担当者の求めに応じて,語りの内容に関わる書籍や記事,写真等を提供いただいた。

第3に,撮影後の動画編集である。聞き取りに同席した動画編集担当者が従事した。ローデータを編集し,30分以内に収めることを心がけた。原則として質問項目に沿って構成し,適宜キャプションや参考図版を挿入した。編集済み動画は,企画・監修担当者が校閲し,複数回にわたって修正を求めた。最後に聞き取り対象者の了解を得て,確定とした。

第4に,コメンタリーの作成である。原爆文学と教育哲学,それぞれを専門とする2名の研究者に,対象者3-4名を単位として10-15分程度の解説を依頼した。解説では,語りの異同やその社会的・政治的文脈を補っていただき,視聴者の理解の助けとした。

なお,完成した全ての動画に,日本語と英語の字幕を付した。

 

3.「平和教育者アーカイブ」に関するタイムライン

ここでは,「平和教育者アーカイブ」に関連する出来事を整理した年表と,アーカイブに登場する平和教育者たちのタイムラインを掲載する。

平和教育者アーカイブ関連年表を開く(クリックすると開きます)

 

平和教育者に関するタイムラインを開く(クリックすると開きます)

 

4.「平和教育者アーカイブ」とコメンタリー

平和教育者による語りを掲載する。聞き取りの時期に応じて,第1期から第3期に整理している。

あわせて,広島大学の研究者2名による平和教育者の語りについてのコメンタリー(解説)も掲載する。

広島大学の研究者2名についての略歴を読む(クリックすると開きます)

川口 隆行

広島大学教育学部卒業,同大学院教育学研究科修了。博士(学術)。台湾での研究,教員生活を経て,2008年より広島大学大学院准教授。2020年より教授。専門は日本近現代文学,文化史。近年の主な研究関心は,1)原爆文学や戦争表象,2)50年代サークル運動をはじめとした社会運動と文化生産,3)東アジアの植民地化,脱植民地化における言語や文学の問題,にある。いずれのテーマも冷戦の時代に成立した,一国主義的な日本の戦後史の枠組みを問い直す試みである。ほかにも難民や移民,公害や災害を文学・文化史的視野から考えること,いまよりマシな社会をつくる「ことばの教育」にも関心がある。

丸山 恭司

広島県呉市出身。広島大学教育学部卒業,同大学院教育学研究科博士課程後期単位修得退学し,2000年にフロリダ州立大学にてPh.Dを修得。広島大学講師・助教授を経て現在は教授。専門は教育哲学・教育倫理学。ウィトゲンシュタイン哲学から「学習者の他者性」を考察する研究を基点にして,教育的関係に潜む支配欲や暴力の批判的研究をおこなっている。

 

第1期(2020年度に聞き取りを実施)

第2期(2021年度に聞き取りを実施)

第3期(2022年度に聞き取りを実施)

 

5.「平和教育者アーカイブ」の理解を深めるために

(1)平和・市民性教育ユニットの活動
・ 平和教育者アーカイブ: セミナーホームページセミナー動画
・ 活動のまとめ: 書籍(第10章)論文ホームページ

(2)平和教育のカリキュラム開発
・ 広島創生イノベーションスクール: ホームページ書籍(chap11)論文
・ 広島叡智学園中学校・高等学校: ホームページ論文報告書

(3)海外の大学生との歴史対話
・ 米国: ホームページ成果報告会「戦争と平和の教育学(テキサス戦争資料館)」
・ 韓国(1): ホームページ「教養ゼミ(より良いヒロシマ教科書づくり)」
・ 韓国(2): ホームページ「戦争と平和の教育学(広島平和記念資料館)」

(4)PELSTEの開催
・ 2020年: ホームページ報告書
・ 2021年: ホームページ報告書
・ 2022年: ホームページ報告書1報告書2

 

6.関連リンク

(1)研究・実践組織
・ 広島平和教育研究所
・ 平和教育学研究会(平和教育学事典)
 日本平和学会(平和教育プロジェクト委員会)
・ NPO法人 ANT-Hiroshima
・ NPO法人 Peace Culture Village

(2)広島県・広島市
・ 広島県(平和推進プロジェクト・チームのサイト)
・ 広島県教育委員会(ESD実践事例 平和教育)
・ 広島市(原爆・平和サイト)
・ 広島市教育委員会(「広島らしい教育」のサイト)
・ 公益財団法人広島平和文化センター

(3)記念館・資料館
・ 沖縄平和祈念資料館
・ 長崎原爆資料館
・ 広島平和記念資料館
・ 福山市人権平和資料館

(4)大学附設機関
・ 広島市立大学広島平和研究所
・ 広島大学平和センター
・ 明治学院大学国際平和研究所

 

【更新履歴】
・2023年2月18日 ページ全体をリニューアル(1章と2章の内容を修正,4章のアーカイブのデザインを変更,3章・5章・6章を追加)
・2022年11月5日 ページを一部修正(第3期の動画を追加)
・2022年3月15日 ページ公開(第1期・第2期の動画を公開)


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