【2024.07.28】第163回定例セミナー「東広島市地域学習用デジタルコンテンツ-のん太の学び場-活用講座」を開催しました。
2024年7月28日(日)に,第163回定例セミナー「東広島市地域学習用デジタルコンテンツ-のん太の学び場-活用講座」を,東広島市立図書館と共同で実施しました。東広島市立中央図書館と安芸津図書館の2館を会場として,市内の小学生9名がタブレット端末を使って「のん太の学び場」での学習に挑戦し,本学の学生・大学院生8名が学習支援をつとめました。
講座は小学校の授業時間割を模して,13時から16時までを3時間に区切って実施しました。進行はEVRIの草原和博教授と大坂遊教育研究推進員が務めました。昨年と同様に,オンライン会議システム(Zoom)を活用して安芸津館からも遠隔で児童が講座に参加し,中央館の子どもたちと一緒に学びました。
【1時間目(13:15~14:00)】
自己紹介と趣旨説明の後,1時間目が始まりました。1時間目は「のん太の学び場」の使い方を理解するとともに,デジタルコンテンツに実装されている30のキーワードを参考にしながら探究したい「問い(疑問)」を作りました。
まず,「のん太の学び場」で何が・どのように学べるかを実体験的に学習しました。今年は,キーワード「市旗」を例にしてページの使い方を学びました。「東広島市の旗は,①市内の警察署にあがっているか?,②市内の消防署にあがっているか?,③市内の図書館にあがっているか?」という問いに対峙しながら,予想を立てたり,ページを閲覧したりすることを通じて,子どもたちはページの機能を理解しました。
次に,「問いとは何か」を考える時間を設けて,問いを作る練習を行いました。「~か?」の形で終わる文章が問いだということ,「なぜ」「どのように」「だれ」といった言葉と問いは結びつきやすいことを子どもたちは認識できました。そのうえで,東広島市にある三ツ城古墳を事例にして,実際に問いづくりの練習をしました。
その後,探究したいキーワードを「のん太の学び場」で調べながら問いをつくりました。当日は30のキーワードのうち「ふるさとの味(途中で「酒づくり」に変更)」「ごみ袋」「農産物直売所」「水道料金」に関心を寄せる児童がそれぞれグループになって,大学生・大学院生と協力しながら問いを作り上げていきました。
【2時間目(14:10~14:55)】
2時間目は,「のん太の学び場」を使って調べ活動を展開しました。調べ学習では,子どもたちはA3用紙にインターネットや参考図書を読んで分かったことを書き出したり,資料を引用して貼り付けたりと,グループのメンバーで分担して作業に取り組みました。この支援には,大学生・大学院生と図書館スタッフが共同してあたりました。今年は3人ひと組で作業を行うチームもあり,スタッフも分担作業の取り組ませ方やアドバイスの仕方を試行錯誤しながら支援していました。
作業にとりかかる前には,図書館スタッフの方から資料の引用・出典表記の方法についてもお話があり,子どもたちに著作権を守ることの大切さも学んでもらいました。図書館にご用意いただいた参考図書は,調べ学習に大いに役立てることができました。
【3時間目(15:05~15:40)】
3時間目はポスターを完成させた上で,調べ活動の成果発表を行いました。各キーワードについて,まず児童が完成したポスターを説明しながら成果を報告し,次にそれを支援した大学生・大学院生がそれぞれの作品の特徴や子どもたちの頑張りの様子を全体に向けて紹介しました。
最後に草原教授と玉元図書館長が短評を述べ,受講証と景品を手渡しました。玉元館長は,このようなイベントをきっかけにぜひ積極的に図書館に足を運び,夏休みの自由研究に役立ててほしい,分からないことがあったら図書館を利用して調べるようにしてほしいと呼びかけていました。
東広島市立図書館と連携した「のん太の学び場」活用講座は今年度で6回目を迎えました。今年もグループでの調べ学習や大学生・大学院生の支援を通して探究のプロセスを学ぶことができました。例えば,あるグループは当初,「西条のお酒はどうやってつくられているか?」という(のん太の学び場でも学ぶような)問いを設定していましたが,スタッフや子どもたち同士のやり取りを通して「なぜ西条ではおいしいお酒がつくられるのか?」といった,地理や理科的な見方・考え方を活用して探究する必要のある高度で挑みがいのある問いへとつくり変えることができました。このような探究活動が展開できたことは大きな成果です。また,例年以上に多くの子どもが遠隔から参加し,場所を問わないフラットな環境のなかで,離れた場所にいる子ども同士がつながり,ともに東広島という地域について学び,交流しあう機会を提供することができました。
夏休みは始まったばかりです。子どもたちには疑問を大切にしながら過ごしてほしいと思います。そしてもし疑問が浮かんだら,問いを立て,「のん太の学び場」と図書館を活用しながら答えを見つけ出してほしいと思います。今後もEVRIは,子どもたちの好奇心や探究心にこたえるプロジェクトを推進してまいります。
文責(大坂遊・神田颯)
「のん太の学び場」は,「資料(ウェブや本)と現場を往還する学び」をコンセプトに,東広島市立図書館からEVRIが委託を受けて開発した東広島市地域学習用デジタルコンテンツです。「のん太の学び場」開発の経緯や活用実績については,EVRIのプロジェクトページでご紹介しています。
東広島市地域学習用デジタルコンテンツ(通称:のん太の学び場)のプロジェクトページはこちら(バナーをクリック)
教育学研究科HPにも掲載されています
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