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【2023.02.12】定例オンラインセミナー講演会No. 137「連続セミナー・授業研究を研究する 「オランダの体育授業研究の実践者から学ぶ(3)―安井隆先生―」」を開催しました。

公開日:2023年02月21日 カテゴリー:開催報告

.開催報告

広島大学大学院人間社会科学研究科「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は,教師教育・授業研究ユニットの活動の一環として,2023年2月12日(日)に,定例オンラインセミナー講演会No. 137「連続セミナー・授業研究を研究する 「オランダの体育授業研究の実践者から学ぶ(3)―安井隆先生―」」を開催しました。大学院生や学校教員を中心に27名の皆様にご参加いただきました。

「授業研究を軸に教師教育を改革する」シリーズは,日本の授業研究と世界のLesson Studyとの交差点を探りながら,授業研究に基づく教師教育について研究できる国際共同研究プラットフォームの構築を目指す企画です。Kim, J., Yoshida, N., Iwata, S., Kawaguchi, H. (Eds.). (2021). Lesson Study-based Teacher Education: The Potential of the Japanese Approach in Global Settings. New York, NY: Routledgeの出版を契機に,広島大学の共同研究プロジェクト(研究代表者:金鍾成:2020~22年度)の支援を得て,日本の授業研究と世界のLesson Studyとの相互作用の解明に取り組んでいます。

シリーズ第15回目となる本セミナーでは,オランダのユトレヒト市の小学校に勤務している安井隆氏を招いて,小学校の体育授業研究と教師教育の観点から日蘭比較を試み,俯瞰的に日本の体育授業研究の可能性や課題について議論を行いました。

 

はじめに,司会の岩田昌太郎准教授(広島大学)より本セミナーの趣旨が説明されました。安井先生との出会いや体育授業研究の意義や課題,さらに今後の教師教育について議論したいとの趣旨を述べました。

次に,安井隆氏(OBS Overvecht;オランダの小学校)から「オランダ小学校の授業研究〜日蘭の比較から見る今後の教師教育〜」と題して話題提供が行われました。まずは,安井氏がなぜオランダへ移住したのかを含めた自己紹介から始まり,オランダの基礎情報や教育制度を概説していただきました。次に,オランダの体育授業の実践について,安井氏の日頃の授業の様子を画像や動画を用いつつ,わかりやすく丁寧に説明していただきました。そして,オランダの「授業研究」の実態を,①体育教師養成大学,②日常での学び,③高度な学び,といった3つの観点から概説していただきました。とりわけ,ヒトやモノのシェアの文化,コーヒータイム,SNS(Whats App)の利活用,チームビルディング,特有な教員研修などは,日本とは違うやり方で興味深いものでした。最後には,安井氏の日蘭比較の視点から,相互の国における授業研究のメリットやデメリット,そして今後の教師教育についても言及していただきました。

 

以上の発表を受けて,指定討論者の川口広美准教授(広島大学)は,コミュニティーの中にある学校をどのように捉えて,授業研究を運用していくのかといった前提について述べられました。その上で,オランダでは勤務内における教師の専門性開発のあり方や教員養成校や学校教員が介する研修の内容(多様なトピックを選びながら,3ラウンドの学びを実施する)がどのように選定されていくのか,などのコメントや質問が投げかけられました。

また,ウェビナーのQ&A機能を活用して行われた質疑応答では,「授業研究を通して,授業内容の改善と同時に,同僚性の構築を志向するような意識はあるのか」,「体育授業中の子どもの高度な技の練習に対する安全面への配慮はどのようになされるのか」,「オランダの体育における学習内容(動き→動きのテーマ→種目)と同時に,現行のスポーツ種目(サッカー,バスケットなど)を体育授業で取り扱うのは発達段階を考慮してなされるのか」といった質問や,「オランダにおける複数担任制は教員一人当たりの給料面が悪くなることはないのか」といった意見も出されました。これについて安井氏は,具体的かつ体験的な実践事例を紹介しつつ,オランダでの同僚教員から得た情報をもとに,質問内容について丁寧に回答されました。

最後に,指定討論者の川口准教授がまとめを述べ,岩田准教授がここまでの議論を振り返りながら,安井氏の言葉で印象に残ったことなどを紹介しつつまとめを行い,今回のセミナーは終了しました。

今後もEVRIでは「教師教育・授業研究」ユニットを中心に,授業研究を軸に教師教育を変革するための方略について引き続き検討してまいります。

文責(岩田昌太郎)


 

Ⅱ.アンケートにご協力ください

多くの皆様にご参加いただきまして,誠にありがとうございました
ご参加の方は,事後アンケート(アンケートはこちらをクリックしてください)への回答にご協力ください。


教育学研究科HPにも掲載されています


*第137回定例セミナーの告知ポスターはコチラです。

No.137のサムネイル

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