「平和教育者アーカイブ」近日公開のお知らせ(2022.02.17)
広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)は,昨年度より「ヒロシマの平和教育者」への聞き取りを行い,インタビュー動画のアーカイブを作成しています。アーカイブは,広島の平和教育について国内外の研究者と共同研究を推進するための題材,また教員志望者のための教材としての活用が大いに期待されます。この企画は長期的に継続していく予定で,今年度も多様な立場で活動をしてこられた先生方のお話を伺い,アーカイブの充実を図ることとしました。このたびインタビューをしたのは,松井久治先生・梶矢文昭先生・橋本一貫先生の3名です。さらに,3名の実践に対する解説コメントを丸山恭司先生・川口隆行先生より頂きました。
また,動画作成に際しては,3名の平和教育実践に関わる資料も併せて収集いたしました。
例えば,下の写真は広島市立翠町中学校(旧 広島市第三国民学校)にて取材をさせていただいた際に撮影した『戦災死児童学籍簿』です。作成当時の状態で現存している大変貴重な史料になります。
1978年,翠町中学校の戸棚奥から『戦災死児童学籍簿』が発見されました。この史料には原爆によって亡くなった国民学校の生徒の情報が記録されています。一方で,戦災死した生徒の氏名以外の情報については詳細不明の「空白」も数多く散見されました。この空白を埋めることで,被爆の状況と実態を明らかにしようとして行われた調査が「空白の学籍簿」の取り組みでした。翠町中学校区に残る遺族を対象に,生徒自らが聞き取りを行って情報を収集・整理しました。この取り組みは先駆的な平和教育実践として全国的に高く評価されています。この実践を指導した一人が,このたびのインタビュイーである松井久治先生でした。
(氏名など写真の一部を加工しています)
「空白の学籍簿」をはじめとする3名の平和教育実践の詳細につきましては動画をご視聴ください。インタビュー動画ならびに解説コメント動画は本年3月に公開を予定しております。公開の際には改めてEVRIホームページやFacebookにてお知らせいたしますので,どうぞご覧ください。
なお,本アーカイブ企画は「PELSTE2021」および「PELSTE2022」プロジェクトの一環であります。下記のリンクも併せてご参照いただけますと幸いです。
【2021.05.30】第78回定例オンラインセミナー「これからの平和教育を考える(1)-平和教育者アーカイブ構築の意義と可能性-」を開催しました