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【2021.10.02】第92回定例オンラインセミナー「教科教育学・心理学・日本語教育学の視点からインクルーシブな学びを考える(4)理科に学びにくさのある子どもをどう支援するか?-」を開催しました

公開日:2021年10月22日 カテゴリー:開催報告

.開催報告

 

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は,ユニットの活動の一環として,2021年10月2日(土)に,第92回定例オンラインセミナー「教科教育学・心理学・日本語教育学の視点からインクルーシブな学びを考える(4)理科に学びにくさのある子どもをどう支援するか?-」を開催しました。大学院生や学校教員を中心に58名の皆様にご参加いただきました。

「教科教育学・心理学・日本語教育学の視点からインクルーシブな学びを考える」シリーズは,学びにくさを持つ子どもに既成の教科カリキュラムをいかに教えるかとともに,インクルーシブな社会の実現に向けて教育には何ができるかを考えています。

 

シリーズ第4回となる本セミナーでは,理科に焦点を当て,子どもの学びにくさとその支援について議論しました。まず,理科教育におけるこれまでの研究をレビューし,インクルーシブに関する研究動向が報告されました。次に,理科授業におけるインクルーシブ視点からの支援について,校内研修と授業実践の具体が報告されました。最後に,研究報告と実践報告の結果も踏まえ,とりわけ視覚障害を中心にして,観察や実験を知覚しやすくするための具体的な手立てが報告されました。

はじめに,司会の木下博義先生(広島大学)三好美織先生(広島大学)より,本セミナーの趣旨が説明されました。インクルーシブという言葉はよく耳にしますが,実際の授業の中では,どの場面でどのように指導すればよいのでしょうか。理科ではこれまで,「学びやすさ」に着目した研究や実践は多く行われてきましたが,学びにくさに焦点を当てた研究や実践はあまり見られません。しかし,教室環境や授業には,学びにくさが潜んでおり,教師が気付かないところで子どもは学びにくさを感じていることでしょう。そこで本セミナーでは,そのような学びにくさの所在を明らかにするとともに,教師はどのように子どもを支援すればよいのかを考えていくことが確認されました。

 

次に,中山貴司先生(広島大学附属東雲小学校)から「理科教育における研究動向」と題して話題提供が行われました。初めに,理科教育における学びのユニバーサルデザインに関する先行研究をレビューし,それらを「方法論」「展開論」「形態論」「内容論」に分類して報告していただきました。続いて,「焦点化」「視覚化」「共有化」というユニバーサルデザインの視点からご自身の授業を分析し,紹介していただきました。最後に,理科教育におけるジェンダーの問題,ギフテッド(秀才児)の問題,幼保小の連携の在り方を取りあげ,今後の理科教育におけるインクルーシブ教育実現に向けた方策について提案していただきました。

 

その後,古石卓也先生(広島大学附属東雲小学校)から「理科授業における教師の支援の実際」と題して実践報告が行われました。前半は,校内のインクルーシブ授業研究としてご自身が実践された内容を紹介していただきました。具体的には,他者の自然の見方や感じ方を受容的に捉えることをねらって取り入れた「フィールドビンゴ」(校庭で植物や昆虫を見つけるビンゴゲーム)の実践について,成果と課題を報告していただきました。後半は,理科の問題解決場面(問題,予想,方法,結果,考察,結論)ごとに想定される学びにくさを抽出し,そこでの具体的な手立てを紹介していただきました。

 

最後に,氏間和仁先生(広島大学)から「観察や実験をユニバーサルデザインしてみる」と題して話題提供が行われました。特別支援教育をご専門とされる研究者の立場から,中山先生,古石先生の研究報告・実践報告に対してコメントをいただきました。その後,視覚情報を代替的に提供する方法として,操作活動を通した直接体験や,言語・聴覚などによる情報の補充,また学習経験の拡充等について紹介していただきました。さらに,情報を入手する際の「コントラスト」「サイズ」「視距離」といった適切な環境について,動画資料を用いながら具体的に解説していただきました。

 

また,ウェビナーのQ&A機能を活用して行われた質疑応答では,「共生概念のうち,正の依存とは?負の依存とは?」,「自立や依存という部分と理科の授業がどのように関わっているのか?」といった質問や,「子どもの学びにくさを解消するためには,学びの方法を子どもと共有することも大事だと思う」といった意見も出されました。

まとめとして,①インクルーシブな視点での指導は,無意識的なものではなく,意識的に行われるものでなければならない,②観察や実験のさせ方,思考のさせ方(例えば,仮説や考察の導き方)は,バリエーションや順序を複数用意することが有効な支援となる,ということが参加者全体で共有されました。

 

 

今回のセミナーを踏まえ,EVRIは以下のような政策提言を構想しています。

理科のInclusiveな側面とExclusiveな側面について整理し,よりよい指導に向けた理論づくりと体制づくりを行うこと。

 

今後もEVRIでは「Inclusive・日本語教育」ユニットを中心に,今後も多様な子どもたちがともに学び考える空間の在り方について引き続き検討してまいります。

なお,今回は諸事情により,発表資料の公表を控えさせていただくこととなりました。今後の研究の進展にご期待ください。

 


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*第92回定例セミナーの告知ポスターはコチラです。
No.92のサムネイル


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