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▶2026年1月22日 公開 ▶2026年8月17日 最終更新
プログラムの詳細や受講のお申込みは,
下記のページからお願いいたします。
(申込期限:2026年2月27日(金)まで)
https://www.hiroshima-u.ac.jp/gshs/risyu_syomei
※今年度の受付は終了しました。
本ページでは,広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)が主催する履修証明プログラムである「教師教育者のためのプロフェッショナルディベロップメント講座」について紹介します。
近年,教師教育や教員養成の世界では,「教師教育者(Teacher Educator)」という概念が注目されています。「教師教育者」には,教員養成に携わる大学教員のみならず,教育委員会の指導主事や学校現場の管理職,同僚教師など,教師の成長に影響を与える幅広い立場の人も含まれています。「教師教育者」は,「教師を育てる研究者」や「元(ベテランの)教師」といった単なる職歴や専門領域を備えているだけではなく,教師の力量形成を支援する存在としての特別な専門性(professionality)や信念(identity)が必要であるとされています。このことから,世界中で教師教育者についての研究が行われ,教師教育者の専門性開発のあり方が議論されています。
広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)は,設立当初から教師教育者に関する研究を行っています。これまで,日本国内外の学校や機関と連携しながら,「教師教育者とは誰なのか」「教師教育者とはどのような専門性をもつ存在なのか」「教師教育者が専門性を高めるためには何をすればよいのか」といったテーマについて,教師教育者の専門性に関する研究や実践を重ねてきました(「教師教育・授業研究」ユニットの特設ページもご参照ください)。
これまでのEVRIが行ってきた取り組みをさらに発展させるべく,2021年度4月より,EVRIは広島大学が社会人向けに開講している「履修証明プログラム※」の1つとして,「教師教育者のためのプロフェッショナル・ディベロップメント講座」を開設しています。
※「履修証明プログラム」…学校教育法施行規則で定められた,体系的な知識・技術等の習得を目指した社会人向け教育プログラムのこと。制度についての詳細は,文部科学省のこちらのページを参照。広島大学で開講されているプログラムについては,こちらのページを参照。
若手教員や教育実習生の指導,および校内研修の企画・運営などに関わっている先生方を対象とした有料の講座です。1年間(計120時間)をかけて,EVRIが受講者の教員養成・研修の改善と研究能力の向上,そして教師教育者のコミュニティづくりを支援していきます。修了者には,学校教育法に基づく「履修証明書」を発行します。
受講をお勧めしたいのは,次のようなニーズをお持ちの先生方です。
プログラムの詳細や申し込み方法についてはこちらのリンク先,ならびに以下の案内用チラシ(PDF)をご参照下さい。
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講座全体で,「オンライン講習」「共同研究・論文執筆」の2つが連動する形で進行していきます。
希望者には,任意でEVRI草原和博教授が提供する教師教育に関する大学院授業の情報提供も行います。
実施計画は,以下のようなイメージとなっています。
実施日程は調整中ですが,5月から翌1月まで,毎月1回を原則として計10回実施予定です。
講習は1回2時間で,休日や祝日など受講者が参加しやすい日程で開催します。
講習終了後,2週間を目処に,その講習回に応じた課題を提出していただきます。
【実施日程(2026-06-18時点)】※日程を更新しました。
第1回:5月23日(土)14:00~16:00
第2回:6月27日(土)14:00~16:00
第3回:7月18日(土)14:00~16:00
第4回:8月2日(日)14:00~16:00
第5回:8月29日(土)14:00~16:00
第6回:9月19日(土)14:00~16:00
第7回:10月10日(土)14:00~16:00
第8回:11月28日(土)14:00~16:00
第9回:12月12日(土)14:00~16:00
第10回:1月9日(土)14:00~16:00
画像をクリックすると,広島大学の学年暦(授業スケジュール)掲載ページに遷移します。
受講者が聴講している,草原担当の大学院授業科目「教職課程・現職研修カリキュラムデザイン基礎研究」「教職課程・現職研修カリキュラムデザイン発展研究」の実施報告については,草原教授の個人HPにて公開する予定です。
基本的にはZoomによるオンラインの形で講習を行っていきます。以下,各回の講習の概要を報告していきます(随時更新)。
【第1回:2026年5月23日(土)14:00~16:00】
本年度も月に一度行われるオンライン講習が始まり,5月23日に第1回目の講習を実施しました。全国各地からオンラインで6名の受講者が集まりました。
本日は,本講習の趣旨説明や自己紹介,および教師教育者としての歩みを振り返る「演習パート」を中心に実施しました。
はじめに,大坂教育研究推進員より本講座の趣旨説明とスタッフの自己紹介が行われました。今年度の受講者6名は,初等・中等教育学校や教育行政機関に所属されています。受講者に加え,ともに講習を作り上げていくスタッフも参加し,全員で講座を進めていくことが確認されました。
続いて,松本助教より講座全体の目標についても説明が行われました。本講座では,大きく以下の3点が目標として掲げられています。
講座の目標について,大坂氏からは補足がありました。これら3つの目標は独立したものではないとのことです。共同研究を長期間かけて行い論文に仕上げていくプロセス自体が,自身のあり方の見直しやコミュニティづくりへと有機的につながっていることが強調されました。
これらの講座の目標を踏まえ,本日の目標は,①教師教育者という概念について自身の予測や見通しを持つこと,②教師教育者にとっての省察の重要性を理解すること,③互いの教師教育者としての動機や転機,問題意識を共有すること,④講座の全体像を把握し,講座を通した学びについて見通しを持つこと,の4点であることが受講者に共有されました。
次に,大坂氏より講座全体についてのオリエンテーションが行われました。大坂氏から,Microsoft Teamsをはじめとしたアプリケーションの使用方法や,毎月のオンライン講座の流れなどが確認されました。本講座は履修証明プログラムとして,共同研究グループを組織して学術論文の執筆を行うことが中心的な活動となります。大坂氏は,研究活動を通じて自身の教師教育のあり方を見直し,コミュニティづくりにつなげていくことの重要性を強調しました。
休憩を挟んだ後半の演習パートでは,教師教育者としての専門性開発研修に関わるアクティビティを行いました。アクティビティのテーマは,「教師教育者としての転機や契機」でした。受講者とスタッフが,教師教育者(教師を育てる専門職)としてどのような道を歩んできたのかについて絵を描き,それをもとに自己紹介を行いました。受講者は階段やフローチャートなどの多様な表現方法を用いて自身の経歴や,教師教育者となった(あるいはなってしまった)経緯について語りました。受講者がどのような問題意識を抱いて受講を決めたのかが,全体で共有されました。参加者はチャット機能を活用して,自己紹介に対して質問や感想を投稿し,対話を重ねることで交流を深めました。
自己紹介を踏まえ,スタッフの小笠原教育研究推進員および大村教育研究推進員より,今回のワークの意図が共有されました。小笠原氏は,教師教育者としての来歴を描くことで,自己をメタ認知することが企図されていたことを示しました。この背景には,教師教育者にはコア・リフレクションが必要不可欠であるという考えがあります。続いて大村氏は,コア・リフレクションには他者との対話が求められるため,コミュニティとしてのヴィジョンの共有に向けて本取り組みを実施したことを語りました。
今年度の講習では,6名の受講者が集まり,スタッフも含めて互いの経験や関心を共有しやすい雰囲気の中で初回の活動を終えることができました。次回以降も,学術的対話を通じて,互いの問題意識のすり合わせや共同研究に向けた議論を深めていきたいと思います。
(大村)
【第2回:2026年6月27日(土)14:00~16:00】
今回の講座は,6月27日に第2回目の講座を実施しました。オンライン上に6名の受講者が集まりました。
今回からは,①本日の講習の目標確認や教師教育実践に関する近況や悩みを共有する「導入パート」,②教師教育に関する理論や研究方法について学習する「演習パート1」,③グループに分かれて教師教育に関するワークショップや共同研究を推進する「演習パート2」,の3本柱で講習を展開していきます。
はじめに,大坂教育研究推進員より,本日の講習の流れが説明されました。本日の目標は,「課題論文を通して教師教育に関わる重要な概念についての理解を深めること」「過去のPD講座の成果論文を読み,学術論文の読み方を習得するとともに,今後の共同研究に向けた問題意識を醸成すること」の2点であることが共有されました。
「導入パート」では,教育実習を題材とした話題提供と意見交換が行われました。大坂氏より,実習生を送り出す大学側の立場から,学校現場との指導方針の違いや連携の難しさが語られました。続いて受講者からは,実習生やインターンシップ学生を受け入れる学校側の経験が共有されました。現場と大学がどのように連携し,教師を志す学生を支援していくべきかについて,互いの経験と課題意識を交流しました。
「演習パート1」では,あらかじめ課題として提示された教師教育に関する3つの論文(岩田ほか2018,草原2017:281-290,大坂ほか2020)を参照し,「移行」「教師教育者」「同型性」という3つの概念について受講者が報告し,議論を行いました。「移行」については,受講者から,現場の教師から行政職(指導主事)へ移行した際の困難さや,若手教師へのフィードバックにおいて目的意識を持たせる関わりの重要性が共有されました。これに対し,松本助教から,成人の学習者の困り感から出発する成人教育論の視点が示唆されました。「教師教育者」については,受講者から,欧州で提起されている教師教育者の多面的な役割(ゲートキーパーやブローカーなど)を日本の文脈に当てはめる難しさや,役割論と自身の経験を照らし合わせて感じたアイデンティティの揺らぎについてが語られました。これらを踏まえ,教師教育者としての自覚をどのように形成していくかについて議論が深められました。「同型性」については,受講者から,自身が受けた教育を無自覚に再生産してしまうネガティブな側面や,意図するメッセージと伝え方を一致させる難しさが共有されました。議論を踏まえて,大坂氏からは,自身の指導を体現しつつも,学習者自身のやり方を尊重するという同型性の複雑さについての補足がなされました。
「演習パート2」では,昨年度のPD講座成果論文(論文①,論文②)を題材に,学術論文の読み解き方と研究関心のメタ認知に関するアクティビティを行いました。受講者は2つのグループに分かれ,「どのような問題意識で書かれているか」「結果や示唆に共感できるか」といった学術的・鑑賞的な視点から論文を読み深めました。その後,小笠原教育研究推進員とスタッフの大村氏より,学術論文の多様な読み方が紹介されました。小笠原氏からは,論文の前提や論理構成を批判的に問う基盤科学的な読み方が示唆されました。一方,大村氏からは,結論から読み進め,実践への応用やさらなる改善点を見出す応用科学的な読み方が共有されました。
最後に,松本氏よりまとめの挨拶がありました。今後の共同研究に向けて,自身の問題意識を社会的な課題や学術的な議論とどのように接続させていくかという視点を持つことの重要性が語られました。次回以降も,受講者の経験と学術的な知見を往還させながら,研究テーマの策定を進めていくことが確認されました。
今回は「演習パート1」の議論が大変充実した一方で,全体の時間配分がうまくいかず,時間を超過してしまうという運営上の課題が残りました。今後は,限られた時間の中で皆様の関心や研究テーマをより明確にできるよう工夫していきます。次回の課題として提示したキーワードに基づく論文のまとめなどを通じて,論文執筆や問題意識の精緻化に向けた支援を的確に行っていきたいと思います。
(大村)
【第3回:2026年7月19日(土)14:00~16:00】
今回の講座は,7月19日に第3回目の講座を実施しました。オンライン上に6名の受講者が集まりました。
今回も前回に引き続き,①本日の講習の目標確認や大学院科目での学びを共有する「導入パート」,②教師教育に関する理論や研究方法について学習する「演習パート①」,③グループに分かれて共同研究を推進する「演習パート②」の順に講習を進めていきました。
はじめに,大坂教育研究推進員より,本日の講習の流れが説明されました。本日の講習では,①関連文献をもとに「(教師教育者の)アイデンティティと専門性開発」についての理解を深めること,②次回以降の共同研究に向けて課題意識のすり合わせを行い緩やかに共同研究のグループを作っていくこと,を目的として進めていく方針が共有されました。
「導入パート」では,若手教師や新任教師への支援を題材とした話題提供と意見交換が行われました。受講者からは,支援を拒絶してしまう若手教師の葛藤や,新任教師の授業スタイルをめぐる周囲との認識のズレについて,現場の経験が共有されました。大坂氏からは,教師の自己意識の高さや心理的安全性の欠如といった観点から,事象の背景にある課題が示唆されました。これらの事例を通して,独自の信念を持つ若手教師にいかに伴走し支援していくべきかについて,互いの経験と課題意識を交流しました。
「演習パート①」では,あらかじめ課題として提示された教師教育に関する4つの論文(大坂ほか,2022,草原,2019,松本・白石,2025,岩田,2023)を参照し,「アイデンティティ」と「専門性開発」の2つの観点から受講者が報告し,議論を行いました。前半の「アイデンティティ」については,受講者から,子どもに教える専門家から大人の学びを支える立場への移行に伴う葛藤や,他者との対話を通じて自身の役割を再構築していくプロセスの重要性が共有されました。この議論を踏まえ,松本佑介助教より,プロフェッショナル・アイデンティティを構成する4つの要素(課題認識,自己効力感,仕事の満足感,教えることに関する信念)が紹介されました。松本氏からは,これらの要素が今後の共同研究において有益な分析視点となり得ることが示唆されました。後半の「専門性開発」については,受講者から,実践ベースや研究ベースといった専門性開発の類型や,実践の省察においてクリティカルフレンドが果たす役割の大きさが語られました。また,日常の無意識な経験の中にも専門性が高まる契機が潜んでいることや,現場のメンター教師が抱える指導力の課題について,互いの経験と課題意識が交流されました。議論を受け,大坂氏からは,制度化された看護教育者の専門性開発プロセスが紹介され,多様な経路から参入する教師教育者の専門性開発のあり方を相対化して捉える視点が示唆されました。
「演習パート②」では,ホワイトボードアプリであるCanvaを用いて,共同研究に向けたグループ編成とテーマ設定のための議論を行いました。まず,受講者がそれぞれ自身の問題関心を問い(リサーチクエスチョン)の形で提起し,スタッフを交えて関心の類似性を整理しました。その結果,教師から教師教育者や管理職への「キャリアの移行」に関心を持つグループと,校内研究における教師の主体性や「やらされ感」に関心を持つグループの2つが暫定的に編成されました。その後,ブレイクアウトルームに分かれ,各グループにおける今後の研究の方向性について活発な意見交換が行われました。
最後に,今後のスケジュールと次回の課題について確認が行われました。次回は,「成人教育論」と「メンタリング」をテーマとして理論的背景を学びつつ,各グループの研究テーマをさらに具体化していく方針が共有されました。今回のグループ分けや議論の内容はまだ抽象的な段階であり,今後の議論を踏まえて研究グループやテーマを柔軟に変更していくことが想定されています。次回までの期間は短いものの,欠席した受講者も交えた議論のもとでグループの確定および研究テーマの深化を図れるよう,スタッフとして対話の環境を整え,共同研究の本格的な開始に向けて的確に支援していきたいと考えています。
(大村)
【第4回:2026年8月2日(日)14:00~16:00】
今回は,8月2日に第4回目の講座を実施しました。オンライン上に5名の受講者が集まりました(今回は1名欠席のため,5名が参加)。
はじめに,大坂教育研究推進員より本日の講習の流れが説明されました。本日の講習では,①関連文献をもとに,教師教育の研究と実践における重要な概念である「成人教育論」と「メンタリング」について,文献を参照した成果を発表し,議論を通して理解を深めること,②PD講座で実施する共同研究について,研究グループを確定させ,リサーチクエスチョンやデータ収集の方法,具体的な研究計画について協議すること,の2つの目的が共有されました。
今回もこれまでと同様に,①教師教育実践に関する近況や悩みを共有する「導入パート」,②教師教育に関する理論について学習する「演習パート①」,③グループに分かれて共同研究を推進する「演習パート②」の順に講習を進めていきました。
「導入パート」では,大学や学校の夏休み前後に生じる教師教育実践上の悩みが共有されました。大学では前期授業の最終回や採点業務が重なる一方,学校から夏季研修の依頼が増える時期でもあります。大学の授業をどのように締めくくるかという悩みなどを題材に,互いの近況を交流しました。
「演習パート①」では,あらかじめ課題として提示された3つの論文(赤尾編2004:141-169,濱本ほか2019,中川2022)と1本の動画(草原教授作成の広島大学内の新任教員研修用教材 ※非公開)を参照し,「成人教育論」「メンタリング」という2つの観点から論点や学びをまとめた成果が受講者から共有されました。
まず,「成人教育論」をテーマに,受講者から発表が行われました。発表では,受講者からコルブの経験学習モデルについて言及があり,このモデルを教師や教師教育者の発達に適用する際には,学習者の発達段階や置かれた文脈を踏まえる必要があるとの意見が共有されました。また,成人の学びの特徴として,経験に基づく概念化や,「とらわれ(認識枠組み)」からの脱却の重要性が共有されました。これを受け,大坂氏より,コルトハーヘンのALACTモデルが紹介されました。大坂氏からは,実践者の経験的な知見と学術的な知見を往還させながら「本質的な諸相への気づき」を促し,実践者が持つコア・バリュー(信念や使命)を言語化・自覚化することの意義が共有されました。
続いて,「メンタリング」をテーマに,受講者が発表を行いました。発表では,メンターが一方向に知識を伝達するだけでなく,対話を通してメンティーの経験の省察と自立を支え,学習しやすい環境をデザインすることの重要性が共有されました。また,学校組織では立場を問わず教師教育者的な役割を担う機会があることから,メンタリングの考え方やスキルを広く学ぶ意義が語られました。一方で,自身が受けた指導を無自覚に再生産することで,非効率的な慣習や一方向的な指導が継承される可能性も指摘されました。議論を踏まえ,教師教育においては対等なパートナーシップの下でメンター自身もメンティーから能動的に学ぶ,いわば「双方向メンタリング」のような関係性を構築することの重要性が確認されました。
「演習パート②」では,2つの共同研究グループに分かれ,今後の具体的な研究手続きについて協議しました。はじめに,大村教育研究推進員と松本助教が,前回の各グループの議論を整理しました。大村氏は,第一グループでは全員が指導主事の経験を持つことから,その経験が現在の専門性や職業的アイデンティティにどのようにつながっているのかが中心的な論点になっていたと振り返りました。松本氏は,第二グループについて,校内研究が参加者や授業者にとって「やらされるもの」になりやすく,授業観の刷新に十分つながっていないのではないかという問題意識を整理しました。振り返りを受け,受講者は現在のグループ構成で共同研究を進めることを確認しました。
その後のグループ協議を経て,第一グループでは,メンバー全員が管理職であり,指導主事等の教師教育者的な立場を経験してきた時期も比較的近いという共通項を活かし,過去の経験をAuto-TEM等の方法を手がかりにライフストーリー的に整理することから研究を始める方針が共有されました。まずは自身の経験を基礎的なデータとして振り返り,行政職としての経験が現在の立場や教師教育者としての考え方にどのように生かされているのかを検討しながら,リサーチクエスチョンを精緻化していく予定です。
また,第二グループでは,受講者自身を対象とした協働的セルフスタディを研究方法として採用する方向性で検討を進めました。昨年度のPD講座成果論文を手がかりに,文献を読みながら対話を重ね,校内研究や教師教育に関する信念などを題材として探究する方向性が共有されました。今後は,欠席者も含めてグループ全員で議論を共有した上で,リサーチクエスチョンと具体的な方法論を検討していくことになりました。
なお,PD講座では毎年,各グループの共同研究の成果を,広島大学人間社会科学研究科附属教育実践総合センターが刊行する『学校教育実践学研究』に投稿しています。そのため,論文執筆までの見通しを踏まえ,8月中に先行研究の整理や研究計画の具体化を進める必要性が確認されました。第一グループは8月9日に次回のミーティングを行う予定です。第二グループも翌週の打ち合わせに向けて日程を調整し,講習外でも継続的に研究を進めることになりました。
次回は8月29日に開催されます。次回までの課題として,共同研究で進めた作業に関する成果物をグループでまとめ,報告することが提示されました。今後は,講座で得た理論的な視点とそれぞれの実践経験を往還させながら,各グループで研究を進めていきます。夏休み期間を活用して対話と検討を重ね,次回はそれぞれの研究の問いや方法について,さらに議論を深めていきたいと思います。
(大村)
【第5回:2026年8月29日(土)14:00~16:00】
今回は,8月29日に第5回目のPD講座を実施しました。オンライン上に6名の受講者が集まりました。
はじめに,大坂教育研究推進員より本日の講習の流れが説明されました。各グループで研究の見通しが徐々に明確になってきたことを踏まえ,今後は研究を進めるだけでなく,論文執筆を見据えてリサーチクエスチョンや研究方法,分析の視点を具体化していくことが確認されました。
続いて,2つの共同研究グループから,前回以降の取り組みと現在の研究計画について報告が行われました。
第一グループでは,前回の講座で検討した方向性を踏まえ,3名の受講者がAuto-TEMを用いて,自身が教師から指導主事等を経て現在の立場に至るまでの経験を振り返りました。8月9日には,大村教育研究推進員よりTEMの基本的な考え方や作成方法が共有され,その後,各自が作成したTEM図を持ち寄りながら修正を重ねてきました。今回の報告では,受講者3名それぞれが作成したTEM図を示し,教師から教育行政に携わる立場へと移行した契機や,その過程で経験した困難,周囲から受けた支援などについて振り返りました。3名の歩みには違いがある一方,大学院など,日常の職務から一定の距離を置いて学ぶ機会をもっていたことや,同僚・上司をはじめとする他者との関わりが自身の歩みを支えていたことなど,共通する経験も見いだされました。こうした経験の比較を通して,学校と教育行政を行き来する教師教育者が,どのように教師から教師教育者へと移行していくのか,また,その移行を支えるものは何かという問題意識が共有されました。
第二グループでは,前回の講座以降,4回の打ち合わせを行い,校内研究に関する文献を持ち寄って議論を重ねてきました。議論では,「何をもって充実した校内研究といえるのか」「授業技術の向上だけではなく,授業観や信念の問い直しにつながる校内研究とはどのようなものか」「校内研究主任やベテラン教師は教師教育者としてどのような役割を担うのか」といった問いが検討されました。また,文献を読み,異なる立場や問題意識を持つメンバーと対話を重ねること自体が,自身の研究関心を捉え直す機会になっていることも語られました。こうした過程を研究対象として捉えるため,現在はセルフスタディを研究方法として採用する方向で検討し,変容的学習理論を理論的枠組みの一つとして参照する方向で検討を進めています。今後は,校内研究に対する各自の問題意識がどのように深まり,その変化にどのような対話や経験が関わっていたのかを明らかにしていくことが共有されました。
各グループからの報告後には,大坂氏より,質的研究の基本的な考え方について話題提供が行われました。インタビュー記録やフィールドノートなど,テキストとして扱うことのできるデータを分析する際には,データのまとまりに意味を付与する「コーディング」が基本的な手続きの一つとなることが共有されました。また,サトウタツヤほか編(2019)『質的研究法マッピング』を例に,質的研究には様々なアプローチが存在し,研究で何を明らかにしたいのかによって,適した研究方法や分析方法が異なることが示されました。TEMを含む複数の質的研究法も紹介され,各グループが自身のリサーチクエスチョンと研究方法との対応について改めて考える機会となりました。
後半の演習パートでは,2つのグループに分かれ,論文執筆を見据えて研究計画をさらに具体化しました。
第一グループでは,TEM図の修正点を確認するとともに,指導主事等として困難に直面しながらも,3名がその職務を継続できた背景について議論しました。その中では,大学院等の職務とは異なる場で自身の経験を捉え直す機会や,学ぶための時間の確保,業務量の調整などが話題となりました。これらを踏まえ,今後はTEM図をさらに修正するとともに,教師から教師教育者への移行過程と,その移行を支える要因を捉えるためのリサーチクエスチョンや論文構成を検討していくことになりました。
第二グループでは,これまでの議論を踏まえて,論文の問題設定やリサーチクエスチョンについて協議しました。特に,各自の問題意識がどのように深化・拡大したのか,また,その変化を生み出した要因は何かという観点から研究を整理する方向性が検討されました。あわせて,今後実施するインタビューの質問内容や分析方法についても意見交換を行いました。次回のグループミーティングでは,新たな文献を読むのではなく,これまでの自身の発言や議論を振り返り,今後の教師教育実践について考える機会を設ける予定です。
最後に,今後の論文投稿に向けたスケジュールについて確認が行われました。10月には『学校教育実践学研究』への投稿申込を予定しているため,今後は研究を進めながら,論文の題目や著者順,論文構成についても検討していく必要があります。
前回の講座では,共同研究グループを確定し,研究テーマや方法の方向性を検討しました。今回は,講座外で継続してきた対話や研究活動の成果が共有され,各グループのリサーチクエスチョンや研究方法が徐々に具体化してきました。共同研究も,研究計画を検討する段階から,データの分析や論文執筆を見据える段階へと進みつつあります。次回の講座に向け,引き続き各グループで対話と検討を重ねながら,共同研究を進めていきたいと思います。
(大村)
「教師教育者のためのプロフェッショナル・ディベロップメント講座」に関するQ&A
- 自分が受講する資格があるのか,受講しても最後まで継続できるのか不安なのですが,何か目安になるものはありますか?
→こちらのページの「履修資格」を満たしている方であれば,どなたでもご応募いただけます。なお,本講座は学術研究や論文執筆といったアカデミックスキルが要求される専門的なワークが中心となりますので,不安な方は事前に担当者までご相談ください。昨年度のプログラムの活動報告ページも,ぜひご一読ください。- 受講希望者が定員を超えた場合などは,どのような基準で選考されるのですか?
→応募者多数の場合は,教師教育を中心とした研究業績や,教師教育の実務経験等を考慮して履修者を決定します。定員は8名程度としていますが,運営スタッフの確保などの状況によって受け入れ可能な人数は変化します。- 受講した場合,必ず研究と学術論文の執筆を行わないといけませんか?研究するのではなく,純粋に教師教育についての理論や知見を吸収したいのですが…。
→はい。教師教育の研究を通して教師教育者としての専門性を開発することに主眼をおいた講座となっておりますので,参加にあたっては,共同研究への参加と学術論文の執筆が必須となります。研究と論文執筆にあたっては,講座担当教員とスタッフが共同研究者として全面的にサポートします。これらの活動への参加が難しい,純粋に教師教育についての知見を深めたいという方は,EVRIの提供する教師教育に関連するセミナーに参加したり,科目等履修生として草原教授が担当する大学院科目を受講されるといった方法をご検討ください。- 研究活動は,具体的にどのくらいの時間・日数をかけるのですか?
→研究テーマにもよりますが,最低でも90時間以上,日数にして20~30日程度は研究活動に従事する必要があるとお考えください。
→研究活動の内訳は以下のようなイメージです。部活動や公務(校務)等で研究を行う時間が確保できない方の受講は認められません。
– 先行研究の整理,RQや方法の確定,分析枠組みの確定・・・15時間以上
– 聞き取り調査の準備,質問紙項目の作成,データ収集・・・15時間以上
– データの分析と解釈,示唆についての議論・・・15時間以上
– 論文の執筆(草稿作成→推敲→提出→校正)・・・45時間以上- 2023年度まで必須だった大学院の授業科目は,今年は受講できないのですか?
→受講はできませんが,情報提供は可能です。講座の受講者は,草原教授が担当する大学院の前期科目「教職課程・現職研修カリキュラムデザイン基礎研究」と後期科目「教職課程・現職研修カリキュラムデザイン発展研究」を録画映像等を通して学ぶ機会を提供いたします。- 講習は,対面で受講する必要がありますか?遠方なので広島大学での受講が難しいのですが…。
→講習は原則としてビデオ会議システム(Zoom)を活用し,すべてオンラインで実施する予定です。毎月1回のペースで,土曜日または日曜日の午後に実施します。- 任意となっている,草原教授の担当する大学院の授業科目を正規に履修(単位修得)したい場合はどうすればいいですか?
→広島大学の科目等履修生に登録する必要があります。その場合,講座受講料とは別に,検定料や入学金や授業料等の追加の費用負担が必要となります(登録は2月末締め切り)。もし将来的に広島大学の大学院への進学を検討されている場合,科目等履修生として事前に手続きをされることをお勧めします。科目等履修生として修得した単位は,大学院に入学後に修了単位に含めることができる場合があります。詳しいことは,下記の問い合わせ先にお尋ねください。
・広島大学 教育学系総括支援室(大学院課程担当)
〒739-8524 東広島市鏡山1-1-1 TEL:082-424-3706
E-mail:kyoiku-in■office.hiroshima-u.ac.jp ※■は半角@に置き換えてください。
- 講座で参加できなかった回の補講などを受けることはできますか?
→可能ですが,講習には原則としてオンタイム(リアルタイム)での参加をお願いいたします。勤務の都合などでやむを得ず講座に参加できなかった場合は,オンデマンド(非同期オンライン)で欠席回の内容を補完していただきます。- 履修申請手続きの中に「履修資格を証明するもの」とありますが,これはどのようなものを提出すればいいのでしょうか?
→前職を証明する書類(辞令等),あるいは現職を証明する書類(辞令,職員証等)の写しをご提出頂くことになります。- 休職などで現職を一時的に離れていても受講可能でしょうか?
→受講可能です。申請時には「履修資格を証明するもの」として休職辞令のコピーなどをご提出ください。
私たちEVRIは、EVRIの掲げるミッションとヴィジョンを達成するために、共同事業、共同研究、受託研究および講演等をお引き受けいたします。
ご依頼やご質問は、EVRIの運営支援チームに遠慮なくお問い合わせください。連絡先は次のとおりです。
e-mail :evri-info@hiroshima-u.ac.jp
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