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【2026.3.4】定例オンラインセミナー講演会No.197「子ども・若者の「当事者としての政治参加」を支えるには ――支援に携わる同世代の語りを手がかりに―― 」を開催しました。

公開日:2026年03月12日 カテゴリー:開催報告

I.開催報告

 

広島大学大学院人間社会科学研究科「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は,202634に,定例オンラインセミナー講演会No.197子ども・若者の「当事者としての政治参加」を支えるには ――支援に携わる同世代の語りを手がかりに―― を開催しました。大学院生や研究者を中心に,27名の皆様にご参加いただきました。 

本セミナーは,子どもや若者の政治参加をめぐる現状を踏まえ,とりわけ同世代の若者が支援に携わる実践に着目しながら,「当事者としての政治参加」をどのように支えることができるのかを検討することを目的として開催されました。

はじめに,司会の川口広美准教授(広島大学)のあいさつに続き,井戸浩太さん(広島大学・院生)により,本セミナーの背景と趣旨が説明されました。日本では,子どもや若者の政治参加意識が国際的にみて低い傾向が指摘されている一方で,その参加はしばしば「将来の市民になるための準備」として語られがちであり,子どもや若者自身の切実な関心や生活とのつながりが十分に考慮されてこなかった可能性があることが示されました。そのうえで,本セミナーでは,子どもや若者をすでに社会の中で生きる市民として捉えること,さらに,大人が一方的に支えるのではなく,同世代の「学生」として子どもや若者の政治参加を支えることの意味について検討することが確認されました。

 

 

続いて,若者の政治参加支援に取り組む複数の団体から活動紹介が行われました。まず,宇惠野珠美さん(日本若者協議会)から,若者世代の声を政策に反映させることを目的とした活動について紹介がありました。政策提言や民主主義に関するイベントの開催などを通して,若者が社会の意思決定に関与する機会を広げる取り組みが紹介されました。

 

 

次に,横井千佳さん(Vote at Chuo!!)から,大学生による主権者教育の取り組みについて報告がありました。学校での出前授業や投票支援,SNSを活用した情報発信などを通して,若者が社会を自分事として考える機会をつくる活動が紹介されました。

 

 

また,井下優貴さん(NPO法人ドットジェイピー)から,議員インターンシップなどを通じて大学生の社会参画を促す活動について説明がありました。実際に政治や社会課題に取り組む人々と出会う経験を通して,「自分にもできるかもしれない」という感覚を育てることの重要性が指摘されました。

 

 

さらに,藤田星流さん(NPO法人カタリバ)から,認定NPO法人カタリバの活動について紹介がありました。10代が安心して過ごせる「居場所」を基盤としながら,探究活動や校則見直しなどを通して,身近な社会に対して意見を表明し行動する経験を支える取り組みが報告されました。

 

 

最後に,笠井万櫻さん(Novolt〔岐阜県若者の選挙意識を高める会〕)から,教員養成課程の学生による組織であり、小学生から大学生までの若者を対象に,模擬投票や公約分析などを行う取り組みが紹介されました。政治を「遠いもの」ではなく,日常生活と結びついた問題として考える経験を重視した活動が行われていることが示されました。

 

 

続くセッションでは,子どもや若者の「当事者としての政治参加」を支えるための具体的な工夫や課題について議論が行われました。各団体の実践からは,政治参加を支える条件として,生活と接続した実感のある経験,安心して対話できる場,そして年齢の近い支援者による「たて」でも「横」でもない「ななめの関係」などが重要であることが指摘されました。

一方で,単発のイベントが多く活動の効果が見えにくいこと,政治的中立性への配慮,入れ替わりの激しい学生団体ならではの組織運営の負担,若者自身が抱える無力感といった課題も共有されました。また,家庭環境や社会的背景によって参加機会が不均等になる可能性や,支援の枠組みからこぼれ落ちやすい子ども・若者をどのように包摂していくかという論点も提示されました。

 

 

その後のクロストークおよびフロアとの対話では,「支援に携わる若者自身が活動の意味を感じられるためにどのような工夫をしているか」,「支援の枠組みからこぼれ落ちやすい子どもや,こうした政治参加を体験しない若者をどのように包摂できるのか」,「政治的中立性にどのように配慮しているか」といった論点を中心に活発な議論が行われました。

議論の中では,学生団体として活動するうえで,資金や時間の制約が大きいこと,「政治参加は難しい」「政治参加をするのは意識の高い人たちである」といった社会的なイメージとの葛藤を抱えながら活動している実態が共有されました。その一方で,学校現場に入る際には,キャリア教育の一環として「頑張っている優等生」として位置づけられてしまう場合もあるなど,大人でも子どもでもない学生団体ならではの葛藤や悩みが語られました。

そのうえで,単発の取り組みにとどまらず継続的に学校へ関わることや,成果を可視化する工夫を行うこと,活動を長期的に安定させることで信頼を得ていくことなどが,今後の課題として挙げられました。また,政治に関わる活動を行うにあたり,関係者との契約や学校との事前の合意形成など,実践上の具体的な工夫についても共有されました。

 

 

最後に,本セミナーを通して,子どもや若者の政治参加を支えるためには,単に制度的な参加機会を提供するだけではなく,生活と結びついた経験や対話の場を通して,当事者として社会に関わる感覚を育てていくことが重要であることが確認されました。また,同世代の若者が支援に関わること自体が,一つの政治参加の形となり得ることも示唆されました。

EVRIでは今後も,学校教育と社会の接点に関する研究や実践をめぐる対話の場として,国内外の研究者・実践者・若者をつなぐセミナーを継続的に企画してまいります。

 

文責(川口広美 


 

Ⅱ.アンケートにご協力ください

多くの皆様にご参加いただきまして,誠にありがとうございました
ご参加の方は,事後アンケート(アンケートはこちらをクリックしてください)への回答にご協力ください。


*第197回定例セミナーのポスターはコチラです。

教育学研究科HPにも掲載されています


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