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【2023.11.10】定例オンラインセミナー講演会No.151「Children’s Rights Education in Japan and England:子どもの権利教育とはー日本と英国の試みからー」を開催しました。

公開日:2023年12月08日 カテゴリー:開催報告

I.開催報告

 

広島大学大学院人間社会科学研究科「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、2023年11月10日(金)に、定例オンラインセミナー講演会No. 151「Children’s Rights Education in Japan and England:子どもの権利教育とはー日本と英国の試みからー」を開催しました。大学院生や学校教員を中心に55名の皆様にご参加いただきました。

はじめに、司会の川口広美准教授(広島大学)および北山夕華氏(大阪大学)より、本セミナーの前提や趣旨が説明されました。本セミナーの前提として、日本では1994年の国連子どもの権利条約に批准していたが、その認識や実践において課題がかねてから指摘されてきました。この状況は、2022年・2023年と日本において、子ども基本法や子ども家庭庁設置法ができ、子ども家庭庁の成立と共に、子どもの権利条約の実効化が政策レベルでは意識されるようになり、どのように実践現場で展開していくかが課題となっています。この状況の中で、本セミナーでは、その実効化を意識して、日本と英国において、①どのように子どもの権利が解釈されているのか?②どのように教師たちは子どもの権利教育を実践化しているのか?③個人やコミュニティのニーズに対応する形で教師や子どものエージェンシーがどのように埋め込まれているのか?といった点に答えるということが指摘されました。

 

第1発表として、西崎萌氏(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン/子ども家庭庁アドバイザー)から日本における子どもの権利に関する認識の実態についての報告をいただきました。共有されたデータは、2022年4月にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンによって学校生活と子どもの権利に関する教員向け質問紙の調査結果です。調査結果に見られる特徴として、1994年に子どもの権利条約に批准しているのにも関わらず、子どもの権利への日本の教員の認知度は決して高いものとはいえないこと。また、教員の負担を増やすことなく、子どもが関心を持てる教材を作っていくことが重要であることが指摘されました。さらに、具体的な国会での議論や法制度などについての情報提供も行われました。

第2発表として、Lee Jerome氏(Middlesex University)から英国における子どもの権利について報告されました。Jerome氏は、子どもの権利教育やシティズンシップ教育が国ごとの政治や文化などの文脈によって異なる応答が必要になることを説明しました。例えば英国では、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド、イングランドのそれぞれで子どもの権利教育やシティズンシップ教育がカリキュラムに含まれているのか、教科化されているかが異なっています。また、英国全体において権利(rights)は脱政治化(de-politicised)されて語られていることについても説明されました。報告では、4つのケーススタディが紹介され、様々な文脈においてどのような実践が行われているかを参加者に共有していただきました。貧困や性、宗教、環境問題、メンタルヘルスなど、テーマは多岐にわたっていました。このような実践の効果については、多くの調査によって裏付けられています。これらを踏まえて、避けるべき落とし穴についても我々は学ぶべきであり、今後の実践のための基盤を築いていくことが必要であることが示されました。

 

次に、チャットやQ&A機能に寄せられた質問について、西崎氏とJerome氏から応答がなされました。質問は、子ども基本法や子ども家庭庁の設立に対して、セーブ・ザ・チルドレンがどのような活動を行ったのか、子どもの権利教育としての情動の役割についての考え方、キャパシティという概念定義、子どもの権利教育を行う第1歩として何を行うべきかなど、哲学的・実践的に多様な質問が寄せられました。中でも、日本と英国の思想背景が異なっていることについて、例えば日本では個人の意見主張が集団のハーモニーを阻害すると捉えられているが、それに対してどのように捉えるか、という問いについては、英国ではそもそも個人の意見を持つことと集団のハーモニーが反するという思想自体がないといったことがJerome氏から寄せられ、子どもの権利教育を巡る多様な文脈の違いに対する理解が深まりました。

最後に、川口准教授、北山氏がこれまでの講演と質疑応答をまとめ、日本における子どもの権利教育はまだはじまったばかりであり、このネットワークを拡張していきたいという意気込みが語られ、セミナーが幕を閉じました。

 

今回のセミナーを踏まえ、EVRIは以下のような政策提言を構想します。

・日本における子どもの権利教育を促進するためには、日本の学校教育において現在の子どもの権利の扱われ方を、教科実践や生徒指導といった側面からより丁寧に調査する必要がある。

・子どもの権利教育を促進するには、国内的・国際的なネットワークを構築し、相互意見交流しながらビジョンを着実に実現してゆくことが有益である。

文責(川口広美)


 

Ⅱ.アンケートにご協力ください

多くの皆様にご参加いただきまして,誠にありがとうございました
ご参加の方は,事後アンケート(アンケートはこちらをクリックしてください)への回答にご協力ください。


*第151回定例セミナーのポスターはコチラです。

 

セミナーNo.151(差し替え版)のサムネイル

教育学研究科HPにも掲載されています


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