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【2021.07.20】研究拠点創成フォーラムNo.28「教科教育学,その可能性と挑戦 Subject Pedagogy: Possibilities and Challenges」を開催しました

公開日:2021年08月27日 カテゴリー:開催報告

2021年7月20日(火)深夜に,研究拠点創成フォーラムNo.28「教科教育学,その可能性と挑戦Subject Pedagogy: Possibilities and Challenges」を開催しました。国内外の研究者を中心に,81名の皆様にご参加いただきました。

本フォーラムは,「教科」の教育学の存立をめぐる議論を国際的にリードし,研究拠点としての地位確立に向けた第一歩として開催されたものです。本企画は,今後出版が予定されている“Social Studies Education in Japan: A reader”の編集グループ(池野範男,草原和博金鍾成川口広美,桑原敏典,小川正人)によって主催され,EVRIは共催団体として広報等の支援を行いました。

日本において,理科教育や社会科教育などの各科教育の研究は,一般的な教育学とは異なる独自の目的と方法をもった「教科教育学(Subject Pedagogy)」という学問領域のもとに位置付けられ,実施されてきました。本フォーラムでは,社会科教育とくに歴史教育の研究史を手がかりに,「教科教育学」の特性を概観するともに,それが提起する学問のあり方に対して,同領域を牽引する3名の海外研究者(指定討論者)よりコメントをいただきます。討論を通して,「教科教育学」をめぐる国際的な議論を活性化させることを期します。

フォーラムでは,はじめに池野範男先生(日本体育大学)と金鍾成先生(広島大学)が,基調提案を行いました。両先生は,教科教育を学問として研究してきた日本の教科教育学は,コンピテンシー論などの教科教育の「危機(Crisis)」に向き合う一つの参照枠になると仮定し, 国内外の参加者に向けての教科教育学の歴史,定義,特徴について説明を試みました。とりわけ「授業」を軸にして各教科に固有の,あるいは教科一般に通じる目標・内容・方法・評価論を探究する教科教育学は,草の根(実践)レベルから現行教科のあり方を批判的に検討し,代案を示していくところに意義があると述べました。

 

 

3人の指定討論者は、教科教育を学問として議論する必要性についてはおおむね同意したものの,その具体に関しては異なる見解が示されました。イギリス(ロンドン大学)のアーサー・チャップマン(Arthur Chapman)先生は,歴史教育を中心に,専門科学の内容や認識論に重きをおいた教科教育のあり方と研究の体系を提案しました。オーストリア(ウィーン大学)のアロイス・エッカー(Alois Ecker)先生は,教科教育に焦点を当てた教師教育や教師教育研究の推進とその制度化を提唱し,アメリカ(インディアナ大学)のキース・バートン(Keith Barton)先生は,教科教育の研究に従事する人々の属性や大学のシステム,学校現場のニーズなどから,教科教育の研究を取り巻く日米の文脈の違いについて語りました。

 

 

本フォーラムは,大きく以下の成果を得ました。第1に,同じ問題意識をいだく世界の教科教育の研究者のネットワーク化をはかり,研究拠点化に向けた足掛かりを得たこと。第2に,異なる文脈で活躍する海外の研究者と対話することで,日本の「教科教育学」の強みや弱みを鮮明にできたこと,第3に,“Social Studies Education in Japan: A reader”の出版に向けて,論点設定や概念化の戦略を練ることができたことです。

今後もEVRIでは,教科教育学研究の拠点化にむけて,様々な試みを支援してきます。

 


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