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【2021.07.10】第83回定例オンラインセミナー「思考する教室を作る概念型カリキュラム」を開催しました

公開日:2021年07月26日 カテゴリー:開催報告

.開催報告

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は,STEAM・IB教育ユニットの活動の一環として,2021年7月10日(土)に,第83回定例オンラインセミナー「思考する教室を作る概念型カリキュラム」を開催しました。大学院生や学校教員を中心に128名の皆様にご参加いただきました。

本セミナーでは,時・文化・状況を越えた思考の転移を重視する「概念型カリキュラム」に焦点を当て,「概念型カリキュラムと指導」公認トレーナーであり,国際バカロレア教育にも携わっておられる遠藤みゆき先生に,言語教育を例にご講演頂きました。

はじめに,司会の間瀬茂夫先生(広島大学)より,本セミナーの趣旨として,我が国の一連の教育改革において,資質・能力ベースの教育への転換が図られている中で,活用力や汎用性を求める学習指導をどのように構想し,具体化すればよいのかということは,新学習指導要領が本格実施された今なお課題であるということ。そして,その課題に対し「概念型カリキュラム」が示唆を与えてくれるのではないかという遠藤先生のご講演への期待が述べられました。

そのことを受け,遠藤みゆき先生(関西学院大学)から「思考する教室を作る概念型カリキュラム」と題してご講演いただきました。まず,概念型カリキュラムについて,その最終目的,従来のカリキュラムとの比較,「知識の構造」と「プロセスの構造」の観点から特徴を捉えました。次に,概念型カリキュラムの指導と評価をいかに計画していくのか,単元の作成のステップを追いながら,言語教育における単元作成の具体例(安部公房「赤い繭」を中心に変身をテーマとした作品を扱った単元)が示されました。さらに,概念型カリキュラムを取り入れた授業を展開している教員へのインタビュー映像をもとに,授業や教師の変容の様子が示されました。最後に,これからの社会に生きる子どもたちに求められることを見通し,概念的思考を育成する意義についての言及がありました。

次に,ご講演に関するウェビナーのQ&A機能を活用して行われた質疑応答では,「思考の転移について,子どもたちの思考の限界性や境界性をふまえどのように捉えるか」といった質問や,「一般化の文を作るときに学習指導要領を参考としながら,〔そのために・・・ということを理解する〕と考えるとよいとあったが,その際,自分自身の読み方をメタ認知する以外に何が参考にできるか」といった質問が出されました。こうした問いに対して,遠藤先生からは,学習者の発達段階をふまえながら単元作成のステップを踏むことの重要性を指摘するとともに,遠藤先生を含め教師にとってそのプロセスをたどることには困難がともなうもので,試行錯誤の繰り返しであるという指摘があり,そうした努力の方向性を参加者全体で共有しました。

指定討論者による議論においては,山元隆春先生(広島大学)からは,日本および海外の母語および文学教育の動向をふまえ,概念に注目した指導への共感がまず示されました。そのうえで,概念を重視した学習が効果を発揮するには,「読むこと」と「書くこと」とを関連させた指導が重要であること,日本ではスキルの領域ごとの指導が主軸となっていることに課題があるが,新学習指導要領下における特に高校の国語科の授業では両者を関連させる指導が意図されていて,その実現には概念による目標や思考プロセスのとらえ方が大いに参考になるということが指摘されました。同じく指定討論者の三好美織先生(広島大学)からは,参加者の事前質問を踏まえ,概念型カリキュラムにおける学習評価のあり方,他の教科での取り組みの拡がりについて質問を行いました。遠藤先生からは,概念型カリキュラムのための特別な評価ではなく,パフォーマンス課題などを取り入れ,ねらいの一般化を正当化できるようなルーブリックを作成することで生徒の学びを見取ること,様々な教科が一緒に取り組む際にはトピックを大切にし,各教科の単元を積み上げつつ縦と横の一貫性ある取組みとすること,などの助言をいただきました。

以上のように,今回のセミナーでは,概念型カリキュラムの考え方を単元レベルにおいてどのように具体的に展開するかということ,そのプロセスにおける教師の意識について理解を深めることができました。概念型カリキュラムの提案は,考えながら授業をつくる教師を育てる教師教育のデザインに大きく貢献するとともに,学ぶことの意味を考え,理解しうる生徒を育てることでもあるといえます。

今後もEVRIではSTEAM・IB教育ユニットを中心に,IBの理念を踏まえたカリキュラム・授業・評価の在り方について引き続き検討してまいります。

 

 Ⅱアンケートにご協力ください

多くの皆様にご参加いただきまして、誠にありがとうございました
ご参加の方は、事後アンケート(アンケートはこちらをクリックしてください)への回答にご協力ください。


教育学研究科HPにも掲載されています


*第83回定例セミナーの告知ポスターはコチラです。

No.83 IBのサムネイル

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