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【2021.02.05】第67回定例オンラインセミナー「教科教育を謳う3:インクルーション」を開催しました

公開日:2021年02月05日 カテゴリー:開催報告

.開催報告

2021年2⽉5⽇(⾦),定例オンラインセミナー講演会No.67を開催しました。大学教員や学生,学校教員など69名の皆様にご参加いただきました。

本セミナー「教科教育を謳う」では,現代的なカリキュラム開発の⽷⼝を⾒出すことを⽬的として,多彩な学的背景を持つ研究者らによって教科教育について語り合われてきました。最終回である第3回は「インクルーション」がテーマでした。関係者間・参会の方々とのトークによって,「すべての子どものための教科教育」にアプローチされました。

 

過去2回と同じく同セミナーはオンラインで開催されました。主催である影⼭和也(数学教育者)よりセミナーの趣旨(カリキュラムの次元での子ども中心の教育)の確認と第1回「言語」ならびに第2回「表記」の振り返りがなされました。そこから第3回「インクルーション」への期待は「すべての子どものための教科教育とは何か」であり,ユニバーサルデザイン(UD)による教科書他の工夫や支援具としてのICT開発というアプローチに対して,より多くの人の教科の学習を配慮するとはいかなる試みになりうるかを考えました。

インクルーション・Universal Design for Learning(UDL)領域の専門家(セミナー共同者)による概説の後,同セミナーは3つの論点にしたがって進められました:(i)すべての子どものための教科教育,(ii)学習における「障がい」と「負荷」,(iii)多様な学び方をする生徒の存在。(i)について,端的に言えば教科教育からはすべての子どもに対して共通して身に付けさせたいことはなにか,インクルーションからはすべての子どもに応じたカリキュラムを工夫することとなります。一律で安定したカリキュラムを策定することは教育の責任を担う側として重要ですが,それが真に有効であるためには,教室集団の学びの過程まで掘り下げる必要があります。(ii)(iii)について,全国学力・学習状況調査および数学科教科書に注目して,たとえば文言が読みやすくなるような補助をしたりデザインの工夫をしたり,自分の得意方略に最大限生かすことが考えられました。色々な手段によって題材の提供をしたり行動を促したりすることはUDLの原則でもあり,このあたりに教科教育との親和性がみられました。得てして抽象的・記号的・形式的にみられる数学科においても,それぞれの内容を司るコア・イメージ(変化の仕方を表すための微少な直角三角形といったこと)というべきものがあり,学習においてはこの点への配慮が重要であると考えられます。

最終的に「障がい」とはコア・イメージと表記等との乖離がひどいもの,「負荷」とは場面に応じて具体的にするものであり,前者は指導者による配慮の範疇にあるが,後者は教科の深い学びのためにやはり子どもに課さねばならないものです。インクルーション・UDLにたった教科教育はしばしば目にするテーマですが,子ども個々の実態に応じることが欠かせない点が再認識され,学びの内容をも自分たちが作り出す前向きのカリキュラムは今後も重要な継続した学的,実践的研究が求められます。

 

Ⅱ.アンケートにご協力ください

多くの皆様にご参加いただきまして、誠にありがとうございました
ご参加の方は、事後アンケート(アンケートはこちらをクリックしてください)への回答にご協力ください。

 


*第67回定例セミナーの告知ポスターはコチラです。

No.67のサムネイル

教育学研究科HPにも掲載されています


 

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