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0. Introduction
はじめに

プロジェクトの概要

本ページでは、広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)が、東広島市教育委員会と連携して行う、市内複数の小学校をオンラインで結んだ広域交流型オンライン社会科地域学習について紹介します。

事業概要
●事業テーマ  : 広域交流型オンライン社会科地域学習を実施する
●連携協力機関 : 東広島市教育委員会

●事業目的・内容:
広島大学教育ヴィジョン研究センターが開発した「のん太の学び場」(東広島市地域学習用デジタルコンテンツ)と東広島市教育委員会作成の小学校社会科副読本を効果的に連携させた広域交流型オンライン社会科地域学習の実施を通して 児童の主体的 対話的で深い学びを創造する。

 

(広島大学オープンイノベーション事業本部作成の動画)

広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)(センター長:草原和博教授)は2021年度から、東広島市教育委員会と連携して、市内複数の小学校をオンラインで結んだ広域交流型オンライン社会科地域学習を開始しました。GIGAスクール構想の推進によって実現した子どもたちの「1人1台」端末と学校のICT環境を活用して、市内各地からの中継を交えながら、東広島市の地理・歴史・政治・経済・文化などについて対話的・双方向的に学びます。さらに、この学びを広島大学の教員と大学院生がコーディネートします。

プロジェクトの実施にあたっては、参考コンテンツとして、EVRIが東広島市立図書館の依頼を受けて開発した「東広島市地域学習用デジタルコンテンツ(通称「のん太の学び場」)」を活用します。(「のん太の学び場」の作成についてはコチラ

本年度は、2021年6月の試行に基づいて、毎月1回2時間、テーマを決めて授業を行います。この企画が実現することで、小規模校と大規模校の子どもが、年間を通して、各地域のようすを比較したり交流したりしながら学びを深められるように工夫しています。

目 的
広島大学教育ヴィジョン研究センターが開発した「のん太の学び場」(東広島市地域学習用デジタルコンテンツ)と東広島市教育委員会作成の小学校社会科副読本を効果的に連携させた広域交流型オンライン社会科地域学習の実施を通して 児童の主体的 対話的で深い学びを創造する。

ポンチ絵(20210528版)KKのサムネイル

実施内容
〇 「市内の小学校」と「学習対象となる地域等」と「広島大学」がオンラインでつながり遠隔授業を行う。
〇 遠隔授業の全体進行は、大学の担当者が行う。各教室での指導は、各学級の担任等が行う。
〇 遠隔授業では、児童が自分のタブレットから参加できる機会を設ける。
〇 参加校に技術的なサポート要員(大学院生等)を派遣し、授業準備、授業支援、後片付け等を行う。
1年間の計画案


広島中央エコパークは,なぜ「広島中央」なのか?本当に「エコ」な「パーク」なのか?(2022年5月25日)(クリックすると開きます)
5月25日 :「広島中央エコパークは,なぜ「広島中央」なのか?本当に「エコ」な「パーク」なのか?」
実施体制(敬称略)
  • 授業実施者:草原和博
  • 授業補助者:各小学校での授業担当教員
  • 広島中央エコパークからの中継:大岡慎治,神田颯,國重和海,両角遼平
  • 大崎上島からの中継:川本吉太郎
  • 学校技術支援担当:小田原瞭雅,上口朋佳,近藤郁実,近沢菜々子,藤井冴佳
  • 事務局機器担当①:小野創太,草原聡美,藤井日羽
  • 事務局機器担当②(西条小学校):正出七瀬,田中崚斗,吉田純太郎

 

2022年5月25日,東広島市内小学校9校19学級(西条,寺西,郷田,高屋東,東西条,高美が丘,板城西,福富,豊栄)の4年生(605名)が参加し,「ごみの始末と利用」をテーマとするオンライン授業を実施しました。

1時間目は,「みんなの家から出るゴミが集まる広島中央エコパークは,なぜ「広島中央」で,「エコ」で「パーク」なのだろう?」をめあてにして学習を進めました。本来,汚くて臭いゴミが集まってくるためにマイナスイメージの強いゴミ処理工場が,どうして「エコ」「パーク」なる名前を冠しているのか。まして東広島市に所在しているのに,なぜ「広島中央」を名乗っているのか。児童がゴミ処理工場に対して抱いているイメージと,施設名とのギャップに迫ることで,広島中央エコパークの果たす役割やその機能について理解を深めることを図っています。

まず導入部では,私たちが出すゴミの行方を考えました。事前アンケートの結果によれば,参加児童の約半数が,朝出した燃やせるゴミがその後どこに行くのかを知らないことが明らかとなりました。そこで,ごみ収集車やバキュームカーが施設の中に入っていく様子を中継することによって,ゴミの終着地が広島中央エコパークであるという共通認識を持たせました。

次に,展開部では,上記のめあてを基に,①広島中央,②エコ,③パークのそれぞれに注目して,施設の特徴について認識させました。具体的には,①広島中央エコパークには,東広島市だけではなく竹原市や大崎上島町からもゴミが送られてくるということ(=施設の広域性)。②広島中央エコパークでは,ゴミを高温で処理して溶融物を資源に変えたり,燃焼時に発電を同時に行ったりしているということ(=施設の循環性)。広島中央エコパークでは,子ども向けの学習コーナーでゴミやし尿の処理について勉強したり,足湯や遊具を楽しんだりすることができるということ(=施設の娯楽性)を学びました。

①から③のいずれも,1人1台端末を活用したクイズ場面と,学生リポーターによる中継場面の2段構えで構成されていることがポイントでした。各パートでは初めに「広島中央エコパークにはどこからゴミが集まってくるのかな?広島市?三原市?大崎上島町?」といったクイズに回答することを通じて,子どもは楽しみながら自己の仮説を生成することができました。また,それを臨場感あふれる中継映像によって答え合わせをすることで,児童は現地で見学をしているような感覚でエコパークについて学ぶことができました。巨大なクレーンがゴミを攪拌する様子や,大崎上島から収集車がフェリーを使ってゴミを運搬している様子を中継したシーンでは「おおーっ!」「すごい!」と声を上げる児童も数多く散見されました。

2時間目は,「ゴミについて,どんな課題を調べたり,追究したりしたらよいだろうか?」をめあてにして学習を進めました。1時間目で学んだことから生じる新たな疑問から,今後のゴミ学習の追究課題を発見・設定させることを図っています。

具体的には,「私たちは,ごみの●●について追究したいです」の●●に入る言葉を各学級で決定しました。例えば「なぜゴミは分別しないといけないのか」,「燃やせないゴミはどうやって処理しているのか」,「ゴミ処理場があるのに,海にゴミがあるのはなぜか」といったアイデアが学校から出てきました。特に「なぜエコパークは市内の便利なところではなく山の中にあるのか」は,ゴミ処理場が市民生活を営む上で必要なのはわかっているが自分の家の近所に作ってほしくはない……というジレンマを子どもに認知させる点で注目すべき問いでした。

また,授業者からも探究したい課題の例が示されました。「こんなにすごいエコパークだったらもっと広がればいいのに…。なぜ県内には1つしかないのですか?」,「東広島市のごみ袋のねだんが(他の町と比べて)高いのは,エコパークのせいですか?」,「こんなにすごいエコパークだったらもっと早く作ればよかったのに…。なぜ準備から完成まで10年もかかったのですか?」といった質問とその回答を通じて,児童はゴミ処理場の必要性のみならず,課題(=莫大な運営・維持コスト,地域住民からの反対)について認識しました。

最後に,「広島中央エコパークは●●のために作られたしせつです」について,●●に当てはまる語を考えることによって,施設の理念や役割に注目しながら2時間の学びをまとめました。本時の内容理解が十分であったことを示す「3つの市町村が協力してごみを無くすため」,「遊びや安全,学習のため」といった回答が見られました。また,多くの学校が「未来」や「地球」という語を用いた説明をしていることから,子どもたちは持続可能なゴミ処理の必要性に気づくことができたものと推察されました。

2時間の学習を通じて,児童は市内のゴミ処理場に関して概観を認識し,ゴミに関する課題を発見することが出来ました。ゴミ学習単元の導入にふさわしい学習となりました。また,600名を超える児童が一斉にゴミ処理場を観察することが出来た点からは,遠隔学習が従来の社会科見学のオルタナティブになりうる可能性も感じられます。

 


お店にぴったりなキャッチフレーズをつけよう!(2022年6月15日)(クリックすると開きます))
6月15日 :「お買い物に役立つ,スーパー・直売所・コンビニの魅力を表したキャッチフレーズをつくろう!」
実施体制(敬称略)
  • 授業実施者:草原和博
  • 授業補助者:各小学校での授業担当教員
  • ショージ寺家駅前店からの中継:大岡慎治,國重和海,近藤郁実
  • 福富しゃくなげ館からの中継:正出七瀬,玉井慎也
  • コンビニエンスストアからの中継:川本吉太郎,藤井冴佳
  • 学校技術支援担当:小田原瞭雅,上口朋佳,近沢菜々子
  • 事務局機器担当①(広島大学ほか):大坂遊,草原聡美,藤井日羽
  • 事務局機器担当②(八本松小学校):田中崚斗,両角遼平,吉田純太郎

 

2022年6月15日,東広島市内小学校7校13学級(原,八本松,小谷,福富,豊栄,風早,郷田)の3年生(303名)が参加し,「お店で働く人々」をテーマとするオンライン授業を実施しました。今回の授業では,スーパー,直売所,コンビニという3種類の小売店の比較を通して,それぞれの小売形態が各々の特質を生かして消費者の願いに応え,利益を上げているという概念を探究できることが目指されました。

導入部では,まず「おうちの人とよく行くお店」に関する事前アンケートの結果(複数回答可)が示されました。1位は209人の児童が「よく行く」と答えたゆめタウン(ゆめマート)で,2位にはセブンイレブン(198人),3位にはショージ(162人)がランキングされました。続けて上記3つを含めたランキングの対象となった16のお店の名前カードを眺めながら,カードの仲間分けを行いました。この分類の活動を通して,私たちがよく知っている(使っている)お店/知らない(使っていない)お店を確認するとともに,小売店の3分類を緩やかに把握しました。
次にアンケートを行い,これら3つのお店グループそれぞれの違いを具体的な場面で予測しました。具体的には,「外国産のパイナップルを買う」「西条産のトマトを買う」「ドコモのスマホ代を払う」という3つの場面で,スーパーマーケット,直売所,コンビニのいずれを利用するかを問いました。アンケート結果はリアルタイムに集計され児童に提示されました。外国産のパイナップルを買うときはスーパーマーケット,西条産のトマトを買うときはスーパーマーケットや直売所に行くと傾向が,そしてドコモのスマホ代を払うときにはコンビニを選ぶという傾向が示されました。
普段からお店を使い分けていることを児童が意識したところで,各学級に対し追究したい学習課題の提案を求めました。子どもたちは,生活経験に基づく素朴な疑問から「売っているものの違いを知りたい」「(それぞれのお店の)良いところが知りたい」「売るための工夫を知りたい」などの課題を提案しました。これらを授業者が集約し,本時の課題を「3つのお店のちがい,似ているところ,工夫をみつけよう」に決定しました。

この課題に答えるために,3つのお店のオンライン見学を行ったのが展開部です。それぞれのお店の商品や内装を観察するとともに,児童から寄せられた質問を店員へインタビューを行いました。「どんな商品を売っているのですか」「商品は何種類置いてあるのですか」「今日のおすすめ商品は何ですか」「1日にお客さんはどれくらい来ますか」「お客さんはどこから来ますか」「お店は何時に開いて,何時に閉まりますか」。ポイントはこれらの質問を,3店舗全てで共通に聞いたことです。「スーパーとコンビニと直売所では,売っている商品の数が違う!一番多いのはスーパーだ!」といったように,児童は,各店の商品の量や質,客層,商圏概念を,インタビューを通じて比較考察できたと推察されます。また,児童は,自分たちの疑問に店員が答えてくれたことを嬉しく感じ,満足感した様子がうかがえました。
中継では,共通の質問を聞くだけでなく,各店独自の販売戦略もクローズアップしました。最初に見学したスーパーマーケット(ショージ寺家駅前店)では,特に商品の多様性と広域性に注目しました。県内外から入荷した10種類のトマトやメキシコから遠く海を渡ってきたアボカドに,児童は興味津々でした。また,関連陳列(=野菜売り場の近くでドレッシングを売る),チラシ等による広報といった工夫を確認していきました。
直売所(福富しゃくなげ館)の見学では,地元密着型が強調されました。地元の農家が直接出荷する採れたてのキャベツ,直売所敷地内にある製造所で作られた出来たての豆腐,地元でとれたエゴマを使って作られたそばを食べることのできる食堂にフォーカスすることで,地産地消を大事する直売所の経営のすがたを伝えていきました
最後に見学したコンビニでは,モノだけでなくサービスも販売している点をクローズアップしました。コンサートや野球観戦のチケットを買ったり,ATMを使ってお金を引き出したり,公共料金や税金を支払ったりできる点は,スーパーや直売所とは特に異なるところです。さらに,お弁当から飲み物などの飲食物を中心に約3000種類の商品を365日24時間いつでも買うことができるコンビニのコンビニエンス(=便利)さを発信していきました。

なお,各お店のオンライン見学が終わるごとに,子どもたちはお店の魅力を発表しました。例えば,スーパーマーケット見学の後には「お客様を気遣っている」「いろいろな商品を売っている」などの魅力が言語化されました。直売所見学の後には「食事をするところがあった」「安心安全な野菜」「出来立て・採れたてが食べられる」という魅力が指摘されました。コンビニ見学の後には「24時間いつでもあいている」「いろいろな人を助ける」などの魅力が発表されました。これらの表現から,各校の児童が小売店の特色とその違いを的確に説明できていることが分かります。各学級の発表を受けて,授業者は「お店には違いがあるから,買う人の色々な願いに応えることができる。そしてお店は,買う人の願いに応えることで儲けることができている」と述べて,小売店の似ているところ(=他店舗との差別化を通した消費者ニーズの獲得と収益拡大)をまとめていきました。

本授業では,コロナ禍でお店見学に行きにくい学校,あるいは学校周辺にスーパー・直売所がない地域の学校を念頭に置いて,オンライン社会科見学の可能性を模索しました。子どもにはお店の人に質問する機会を保証し,対話的な学びやアップでの観察が実現するように努めました。一部トラブルはありましたが,児童は3つのお店をじっくり近場で観察できたのではないでしょうか。参加した子どもは,各お店の魅力を伝えるキャッチフレーズづくりという宿題をもらって,授業は終了となりました。本授業は,「3つのお店のちがい,似ているところ,工夫をみつけ」たいという子どもたち自身が立てた課題に,小売店のオンライン見学と3つのお店概念を通して答えていく時間となりました。




[新聞]
2021年6月23日(水) 中国新聞朝刊 24面

*紙面のウェブサイトへの転載申請を行い、中国新聞社の許諾を2021年7月2日に得ました。(2021年7月6日掲載)

2021年6月23日(水)の中国新聞朝刊(24ページ)教育長官特集にて、草原和博教授の授業実践記事が掲載されました。「中国新聞PLUS日経テレコン21」会員の方はログインして内容をご確認頂くことができます。また、広島大学の図書館のPCもしくは学内サーバーから広島大学図書館のデータベースページを経由して「中国新聞PLUS日経テレコン21」にアクセスすることで、どなたでも無料で記事を閲覧することができます。


[新聞] 2021年7月1日 The weekly PressNet Vol.1056 2面
「見学の代わりに大学生が中継 東広島市5つの小学校オンラインで一緒に地域学習」にて、草原和博教授の授業実践記事が掲載されました。

[Web] 2021年3月7日(月) Town & Gown Office
コモンプロジェクト : 広域交流型オンライン社会科地域学習(広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI))」

 

Town & Gown Office(タウン・アンド・ガウンオフィス,TGO)は,広島大学・東広島市が推進するTown&Gown構想に基づき,地域の発展と大学の進化を目指して活動しています。このたび,広域交流型オンライン社会科地域学習がTGOの「コモンプロジェクト」に認定されました。社会課題と学術研究の2つが正しくマッチングしたテーマとして高く評価いただいております。併せて,「もしも東広島に「大学」がなかったら」(2022年2月9日実施)の授業の取り組みをTGOのホームページにてご紹介いただきました。本企画の授業と運営の魅力に溢れた記事です。どうぞご一読ください。

TGOのホームページより紹介記事をご覧いただけます。▶︎こちら
広島大学全学のホームページでも当該記事をご紹介いただきました。▶︎こちら

 

(2022年3月24日 最終更新)


 

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