カンボジアにおける持続可能な社会構築のための社会科カリキュラム・教科書開発支援事業のとりまとめを行いました(2019年12月)
事業完了式典の集合写真(2019年12月24日)
広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、ひろしま平和貢献ネットワーク協議会(提案自治体:広島県)が受託したJICA草の根技術協力事業「カンボジアにおける持続可能な社会構築のための社会科カリキュラム・教科書開発支援」に専門家の派遣で協力しています。12月11日-24日に、EVRIメンバーの草原和博、桑山尚司、大坂遊、守谷富士彦と、徳山博一指導主事(広島県教育委員会)、西川京子准教授(福山平成大学)らがカンボジア現地へ渡航し研修を実施しました。また、2019年12月24日には教育省大会議室に於いて3年間の事業完了を祝う式典が開催されました。
■研修の目的①:授業研究を通したモデル授業・モデル教科書の開発と発信
現地研修では、新社会科シラバスに基づくモデル教科書を活用したモデル授業の開発を行いました。現地のカンボジア人指導助言者や学校教員とともに、小学校4年生地理「各地域の土地の利用」(西川担当)、中学校1年生地理「熱帯地域の農家世界」(徳山担当)、中学校3年生公民道徳「民主主義の認識」(徳山担当)の授業開発に、約2週間かけて取り組みました。それぞれの単元について、新モデル教科書を活用した授業プランを学校教員が提案し、カンボジア指導助言者がコンサルティングし、授業研究会を開催しました。
■研修の目的②:カンボジア指導助言者へのコンサルティング
今回の研修では、カンボジア教科書開発者が指導助言者となり授業研究会を実施しました。専門家は、指導助言する様子を見守りながら、協議すべきポイントや協議方法について補足するなどを行い、カンボジア人指導助言者の自律的な教師教育者への成長を促しました。
12月19日・20日は、大坂がファシリテートしながら、「新シラバスの理念・目標を達成する授業づくりを行うための指導助言はどうすればよいか」と「よりよい社会科授業を実現する新シラバス・教科書開発のポイント」という題目で、教育関係部局にワークショップを実施しました。学校現場で新カリキュラムや教科シラバスを実施するための方策を、指導助言者の役割、事業で開発中のマニュアルの活用法などから協議し、活発に議論を行いました。
■研修の目的③:事業完了式典の開催
2019年12月24日に教育省大会議室に於いて式典を行いました。教育省のIm Koch次官、Ton Sa Im次官、Soeu Socheata次官、JICAカンボジア事務所から菅野祐一所長、教育総局からMok Sarom副局長、Lor Chhavanna副局長、広島県から下﨑正浩国際部長、事業協力している広島大学教育学研究科教育ヴィジョン研究センター(EVRI)の草原和博センター長・教授、桑山尚司講師のほか、教育関係部局の職員約80名が出席しました。
Im次官は、カンボジアの復興と広島の復興を重ね合わせながら事業に対する賛辞と感謝を述べました。3年間の事業の成果物として、教科書モデル単元と本年度開発している社会科カリキュラム・教科書開発マニュアル(ドラフト版)が式典で配布されました。式典は国営放送のカンボジア放送局ほか複数のテレビメディアが取材しました。
式典後は、3年間の研修を通して専門性を高めたカンボジア側の専門家が主体となり、事業の経過と開発したマニュアルの概要について参加者に紹介しました。草原は「by Cambodia、for Cambodia、in Khmer」のスローガンのもと、学校教育に関わる各機関がシステマティックに連携してほしいこと、マニュアル開発者が教師教育者となってほしいこと、マニュアルを活用しながら10年間かけて修正してほしいこと、の3つ願いを伝えました。
これまでの事業については、プロジェクトページをご覧ください。(下記バナーもしくはコチラをクリックしてください。)
【詳細】は活動報告書(HUGLI Letter)をご覧ください。
【HUGLI Letter No.57】 【HUGLI Letter No.58】
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