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【2021.01.28】第65回定例オンラインセミナー「授業研究を軸に教師教育を変革する(5): 新しい授業モデルへの転換に教員養成はどのように応えるのか?」を開催しました

公開日:2021年02月07日 カテゴリー:開催報告

.開催報告

 

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、2021年1月28日(木)、教育学部の共同研究プロジェクト推進経費「「授業研究」に基づく教師教育に関する国際共同研究プラットフォーム開発研究(1)」(研究代表者:金鍾成)の成果公表として、第65回定例オンラインセミナー「授業研究を軸に教師教育を変革する(5):新しい授業モデルの転換に教員養成はどのように応えるのか? 」を開催しました。司会は、川口広美と渡邉巧が行いました。

世界的に、授業研究とは現職研修(in-service teacher education)の方法論として用いられることが多い傾向にあります。今回のセミナーでは、新しい授業モデルへの転換に大学における教員養成がどのようにこたえるか、をテーマにして、「大学」の教員養成の役割や、授業研究のあり方について考えを深めることを目的にしました。

本セミナーは2部構成で行われました。

1部は、「教員養成における授業研究とは何か?」「教員養成における授業研究の意義は何か?」という2つの問いについて間瀬茂夫とともに検討しました。

議論を通して、教員養成では「授業研究」の実施形態や目的が多様であることが明らかになりました。もちろん教員志望学生が実際に指導案を作り、授業を行い、振り返るというプロセスを行う点では共通点が見られましたが、一方で授業分析のみ、授業開発のみを行うものもあり、また、教師が行う授業研究のプロセスを観察者として検討するものもありました。授業研究の目的も、即戦力としての教師への円滑な移行を重視するものもあれば、学校の現状の変革をめざすものもありました。この背景には、「大学」を学校との連続で捉えるか、非連続で捉えるかの発想の違いが確認されました。教員養成の「授業研究」の定義や意義を論じる際の論点が浮き彫りになりました。

 

2部は、「新しい授業モデルの転換に教員養成はいかに応えるか?」に焦点化し、ゲストとして宮本浩治先生をお招きしてお話を聞きました。

間瀬先生・宮本先生の事例紹介では、教師教育者である自分自身が授業や教科観を変容させていく「授業研究」の成果が示されました。次に、それぞれの「授業研究」の成果に基づき、講義系科目や実習系科目において、どのように教員志望学生に対して「授業研究」に取り組ませているか、それはなぜかのお話を伺いました。間瀬先生は、タイプの異なる2種類の授業記録の分析検討を通して、教員志望学生が抱いていた授業観を転換させることが目的であることが示されました。宮本先生は、主に教育実習などの実習系科目において、指導案を作成したり、観察したりするプロセスを通して、自分の中にある授業観や教科観と向き合うこと、そして他者の授業を研究する視点を得ることが重要と述べました。授業研究は、教師としての「体幹」を作るために必要であるとの主張が行われました。

 

最後に参加者との対話では、「国語科の授業研究は国語科のなかでしかできないのか?」という問いが出ました。登壇者は、他教科の授業研究を通して国語科の特色や意味が再確認できる意義がある反面、他教科の教員と適切に対話できるかについては疑問も残ると回答しました。また、授業研究を通して教師が実践に根差した「理論」を再構築していく過程の具体例や、テレビドラマなどの学校外で作られた授業イメージが授業研究の素材になりうる可能性など、多様な論点で質疑が交わされました。授業研究には決められたプロセスはないこと、授業研究はより良い授業を探究するための授業の研究であること、これらの原則を再確認する機会となりました。

EVRIでは「教師教育・授業研究」ユニットを中心に、今後も「授業研究を軸に教師教育を改革する」方略について検討してまいります。

 

 

 

Ⅱ.アンケートにご協力ください

多くの皆様にご参加いただきまして、誠にありがとうございました
ご参加の方は、事後アンケート(アンケートはこちらをクリックしてください)への回答にご協力ください。


教育学研究科HPにも掲載されています


*第65回定例セミナーの告知ポスターはコチラです。

No.65のサムネイル

 


 

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