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【2021.01.14】第63回定例オンラインセミナー「授業研究を軸に教師教育を変革する(4):「授業研究を軸にした教師教育(Lesson Study-based Teacher Education)の編著者との対話」」を開催しました

公開日:2021年01月28日 カテゴリー:開催報告

.開催報告

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、2021年1月14日(木)、教育学部の共同研究プロジェクト推進経費「「授業研究」に基づく教師教育に関する国際共同研究プラットフォーム開発研究(1)」(研究代表者:金鍾成)の成果公表として、第63回定例オンラインセミナー「授業研究を軸に教師教育を変革する(4): 授業研究を軸にした教師教育(Lesson Study-based Teacher Education)の編著者との対話」を開催しました。

まず、“Lesson Study-based Teacher Education: The Potential of the Japanese approach in global setting”(Kim, Yoshida, Iwata, & Kawaguchi, 2021)の編集者である金鍾成吉田成章岩田昌太郎川口広美が、「授業研究をどう定義するか」「教師教育における授業研究の意義は何か」「日本の授業研究の長所と短所は何か」という3つの問いに対して議論を行い、その話し合いに対してオーディアンスも各自の見解を述べる形で会が進まれました。当日は、オンラインで約33名の皆様にご参加いただきました。

 

 

最初に議論となったのは、授業と授業研究の定義でした。まず、授業を教師の「実践」として捉えるか、もしくは子どもと教師を取り巻く「現象」として捉えるかによって、授業研究の意味も変わるという理解が共有されました。さらに、授業「を」研究することと授業「で」研究することの意味の違い、さらに授業「の」研究、授業「のための」研究、授業「による」研究の意味の相違など、授業研究の対象、目的、主体によって授業研究が持ちうる意味合いが異なるという理解も共有されました。授業研究を定義する際の論点が浮き彫りになった一方で、なぜ授業研究を定義することが難しいかが同時にわかる機会になりました。

 

 

教師教育における授業研究の意義としては、教師の主体性、専門性が発揮できる方法であること、子どもの学びに焦点を当てながら専門性開発を目指すこと、専門家集団の協力による授業改善を目指すことなどが議論されました。特に、「専門家としての教師」「研究者としての教師」を育てるために授業研究が有効であるという認識が共有されましたが、上述した授業の定義の相違から生じる各々の研究者が考える「専門家像」「研究者像」の相違も見られました。

 

 

上記のような意義のある授業研究でありますが、 その哲学の共有がなされずにTop-downの形で授業研究が行われ、さらに広がっていることに課題があるという指摘がありました。「なぜ、授業を研究する必要があるか」に対する教師個々人の探索なしでは、授業研究が形骸化・形式化されてしまい、負担でしか感じられなくなるという理解が共有されました。また、“Lesson Study-based Teacher Education: The Potential of the Japanese approach in global setting”で編集者らが試みたように、日本の授業研究のなかに潜んでいる様々な規範を「新たに」見ることで、 日本内外の授業研究をともに発展させる必要性も議論されました。

EVRIでは「教師教育・授業研究」ユニットを中心に、今後も「授業研究を軸に教師教育を改革する」方略について検討してまいります。

 

Ⅱ.アンケートにご協力ください

多くの皆様にご参加いただきまして、誠にありがとうございました
ご参加の方は、事後アンケート(アンケートはこちらをクリックしてください)への回答にご協力ください。

 


*第63回定例セミナーの告知ポスターはコチラです。

No.63 ポスターのサムネイル

教育学研究科HPにも掲載されています


 

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