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広島県教育委員会と連携してカンボジア社会科教科書開発に関する研修を行いました

公開日:2019年02月05日 カテゴリー:開催報告

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、ひろしま平和貢献ネットワーク協議会(提案自治体:広島県)が受託したJICA草の根技術協力事業「カンボジアにおける持続可能な社会構築のための社会科カリキュラム・教科書開発支援」に、専門家の派遣で協力しています。

12月5-18日にEVRIメンバーの桑山尚司、広島県西部教育事務所芸北支部の丸山博章指導主事、大坂遊(EVRI教育研究推進員)がカンボジアへ渡航しました。今回の研修目的は「新シラバスの理念を実現するには、どのような教科書が望ましいか」授業研究をとおして検討すること(パイロット調査)です。授業研究を行うにあたり、昨年度に引き続き広島県教育委員会と連携をおこないました。

 

 

広島県教育委員会の丸山指導主事が助言・協議を重ねて授業研究を実施


12月5日-15日には、現地の教科書開発者や学校教員とともに、中学校3年生地理「カンボジアの経済」と小学校3年生道徳・公民「地雷と不発弾に対する地域の安全確保」の授業づくりに取り組みました。各単元で現行教科書を使った授業と新モデル教科書を使った授業について、それぞれ指導案検討や模擬授業をとおした指導・助言を行いました。

16日には、教育省の教科書開発者に対して、17日・18日には学校教員も含む研修参加者に対して、計4つの授業づくりの方向性を説明しました。具体的には、①「教科書を教える」から「教科書で教える」へ転換すること、②新シラバスが示す「知識」「スキル」「態度」の観点を各授業の具体的な子どもの姿として捉え直し、授業のねらいを明確にすること、③ひろしま型課題発見・解決学習を念頭に置きつつ、カンボジアの文脈で可能な限り子ども主体となる学習を実現することです。現地の授業者も懸命に新しい授業づくりに取り組んだことから、子ども主体の授業を可能にする新しい教科書のよさを参加者と実感することができました。

 

 

 

新教科書と旧教科書それぞれを活用した授業を比較検討


16日に教育省で開催した研修では、パイロット調査に向けた目的と課題の共有も行われました。地理と道徳・公民グループが開発した単元のモデル教科書が提案された後、大坂や丸山指導主事が研修の目的と授業観察の視点について説明しました。

17日と18日では、プノンペン市内4か所の小・中学校の協力を得て、パイロット調査の研究授業と検討会が行われました。研修参加者は、現行教科書を使った授業と新モデル教科書を使った授業を比較検討しながら、新教科書の形式や活用法について議論を重ねました。検討会後には授業者に新モデル教科書の使用感や要望について聞き取り調査を行いました。聞き取りの結果は、調査に参加した新モデル教科書の開発者に直接フィードバックすることができました。本研修を通して、教科書開発者のみならず学校関係者の間でも、新シラバスの理念を実現する教科書と授業の魅力や意義が伝わりました。また、教育省のスタッフの間では、より主体的に教科書の開発・改善に参加しようという意欲が見られるようになりました。

 

 

今回の研修で得られた知見を活かして、2019年2月には別の単元を対象とした同様の研修を実施する予定です。EVRIは、今後も社会科教科書の改善を支援してまいります。

【詳細】は活動報告書をご覧ください。(クリックするとPDFファイルが開きます)

 

【確定】HUGLI Letter No.37 カンボジア12月渡航1(県教委との連携)のサムネイル
【HUGLI Letter No.37】
(クリックするとPDFが開きます)

【確定】HUGLI Letter No.38 カンボジア12月渡航2(研修)のサムネイル
【HUGLI Letter No.38】
(クリックするとPDFが開きます)

 


教育学研究科HPにも掲載されております。

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