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第8回研究拠点創成フォーラム「私たちはどのような視点で授業をみるかー日本の教科教育学とオーストリアの各科教授学ー」を開催しました

公開日:2018年10月17日 カテゴリー:開催報告

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、「教育の専門家」研究ユニットに関連して、オーストリアからAlois Ecker先生とBettina Paireder先生を招聘し、2018年9月28日(金)に研究拠点創成フォーラム(8)「私たちはどのような視点で授業をみるかー日本の教科教育学とオーストリアの各科教授学ー」を開催しました。本シンポジウムは、ウィーン大学歴史文化学部-広島大学大学院教育学研究科との交流協定締結1周年を記念しております。

 

本シンポジウムでは、26日(水)にあらかじめ両国の研究者(日本側は草原和博先生・川口広美先生)が中学校と高校の同一の授業(社会科・公民科)を観察しました。当日の28日(金)では,各科教授学と教科教育学それぞれの学問的バックボーンに基づいて、講師4名で観察の視点と分析の結果を語り合いました。本シンポジウムを通して授業研究の視点と方法を再検討し、教科教育学研究の国際的なネットワーク化をはかりました。

 

 

9月26日 学校訪問 ー 広島市立大塚中学校・広島県立五日市高校


広島市立大塚中学校では社会科公民的分野「現代社会の見方・考え方」に関する授業を観察しました。授業では、「効率」と「公正」の概念を用いて、部活動間で校庭を共有する方法や基準を提案しあう活動が展開されていました。

広島県立五日市高等学校では、高校政治経済「経済学とは?経済的思考とは?」に関する授業を観察しました。授業では、「トレードオフ」「便益」「費用」「機会費用」などの経済学の基礎概念を用いて、進路選択やゴミのポイ捨てに関する意思決定を考える活動が展開されていました。

2つの授業は、いずれも概念学習を基盤にして,それを日常生活や現実社会の例に転用する,子ども主体の授業アプローチがとられていました。授業後には、授業者と参観者で活発な意見交換が行われました。教師と子どもの関わり方、内容と方法の関係、概念学習の進め方、学習の単位や形態など、日本とオーストリアの社会系教科が抱える共通課題について協議することができました。

 

 

 

9月28日 シンポジウム「私たちはどのような視点で授業をみるか」ー


はじめに草原先生が事前に観察した2つの授業の概要を説明し,その後にオーストラリア側・日本側それぞれからが分析の視点と結果を説明しあいました。

オーストリア側は,授業を「教師と学習者の社会システム」として捉え,理論ベースで授業の実態を分析していることに特徴がありました。トピック-学習者-教師の視点から,その間に成り立つコミュニケーションに注目し,学習者の相互作用や学習過程のダイナミクスを社会学や社会心理学の概念を活用しつつ実証的に明らかにしようとしていました。

日本側は,授業を「実践者の信念が表象されたもの」として捉え,実践ベースで改善策を追究しているところに特徴がありました。目標-内容-方法の視点から,教師の指示や問い,子どもの活動・発言など注目し,目標達成のために教師がとるべき方法や目標設定の代替案を,規範性をいとわず提言しようとしていました。

討論を通して,オーストリアの各科教授学,日本の教科教育学の特性が浮かび上がってきました。今後は日本とオーストリアそれぞれの地で,隔年で継続的にシンポジウム開催することとなりました。

 

 

 

 

講演の詳細は、EVRIの活動報告書(EVRI Letter)をご覧ください。(画像をクリックするとPDFが開きます)


【確定】EVRIレターno.31エッカー学校訪問川口作成守谷修正KK守谷再修正のサムネイル

【EVRI Letter No.31】

【確定】EVRIレターno.32日本オーストリアシンポジウムのサムネイル

【EVRI Letter No.32】

 

 

 

 

リンク(クリックするとリンクが開きます)


1.教育学研究科HPでも掲載されました。

2.教育学研究科社会認識教育学講座のHPでも掲載されました。

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