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【2019.8.2】第24回定例セミナー「2019年度東アジア社会科教育シンポジウム 日韓の社会科教科書における『日韓基本条約』記述の比較・分析」を開催しました

公開日:2019年08月22日 カテゴリー:開催報告

[第24回定例セミナー:集合写真]

 

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は,教育の専門家ユニットの教育研究者クラスタに関連し、2019年8月2日(金)に第24回定例セミナー「2019年度東アジア社会科教育シンポジウム 日韓の社会科教科書における『日韓基本条約』記述の比較・分析」を開催しました。

本セミナーでは、広島大学大学院の大学院生ら(指導:広島大学大学院、金鍾成助教)と済州大学校大学院の大学院生ら(指導:済州大学校、リュ・ゼミョン教授)が、各国の社会系教科の教科書における日韓基本条約の記述を分析した結果を発表しました。

 

 

第1部 韓国の社会系教科書の記述分析の発表


第1部では、済州大学校大学院の大学院生リュ・ハクリョルさん、イ・ソンヨンさん、オ・ヨンスンさん、ジャン・ウォンジュンさんが「韓日基本条約とかかわる教科書及び韓国史能力試験問題の批判的談話分析」という題目で発表しました。「サンフランシスコ講和条約」「日韓基本条約」「日本軍『慰安婦』」「強制徴用」という四つのキーワードを設定し、韓国の小・中・高等学校の社会系教科の教科書を批判的談話分析(Critical Discourse Analysis)で読み取った本発表は、現代の視点から日韓基本条約の意味を捉えなおすことが目指されていました。

 

 

 

第2部 日本の社会系教科書の記述分析の発表


第2部では、広島大学大学院の大学院生守谷富士彦さん、宅島大尭さん、両角遼平さん、小栗優貴さんが「日本の社会科教科書における「日韓基本条約」の記述とその特徴」という題目で発表しました。日本の小・中・高等学校の社会系教科の教科書において日韓基本条約が登場する箇所を抽出・分析し「国交を〇〇した」「朝鮮半島の唯一な合法的な政府」「植民地支配」「解決」「金額・賠償/補償」「関連事象」という六つのコードを抽出した本発表は、日韓基本条約を過去の出来事として理解し、それがどのように記述されていたのかを淡々と説明することが目指されていました。

 

 

 

第3部 発表者間やフロアとのディスカッション


第3部では、大学院生同士のディスカッションとフロアを含んだ質疑応答の時間が設けられました。そこでは、韓国側が談話分析ではなく「批判的」談話分析を用いて分析した理由など研究方法論の是非について、韓国側が四つのキーワードを選定した理由について、韓国の教科書には書かれている「慰安婦問題」を含む「日韓基本条約」との関連事項が日本の教科書にはあまり書かれていない理由について、などが議論になりました。両国の教科書だけではなく、それを分析する研究者の認識枠組みの違いも浮き彫りになりました。
最後のまとめとしてEVRIのセンター長である草原和博教授は、相違点だけではなく両国の教科書に共通するものにも目を向ける必要性を指摘し、今後の研究を発展させるための代案を提示しました。

 

 


今後ともEVRIは、関連するユニット・クラスタの発展に取り組んで行きます。

*詳細はレターをご覧ください。
EVRIレターNo.56

EVRI Letter No.56のサムネイル


教育学研究科HPにも掲載されています


*第20回定例セミナーの告知ポスターはコチラです。

告知HP:http://evri.hiroshima-u.ac.jp/5161

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