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※上掲の写真は、本EDU-Port事業に先行して実施された「ペルーに対する体育教師の能力開発支援」事業(独立行政法人日本スポーツ振興センター)における広島大学での研修の様子です。本事業では、このプロジェクトをさらに発展して展開してまいります。

 

2018年10月22日更新
2019年12月20日更新
2020年3月17日更新


0. Introduction
はじめに

プロジェクトの概要

広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI)は、EVRIは「教育のalternativeを提案すること」「教育のreconstructionを促進すること」「教育のinteractionの媒体となること」をミッションに掲げています

このミッションを実現するために、EVRIは学内外の組織や機関と連携して、身近な地域から国際社会に至るまでの様々な課題を、教育の視点から解決していくことで社会に貢献してまいります。そのような社会貢献活動の一環として、EVRIが協力して展開している「ペルーに対する体育教師の能力開発支援」事業(主催:独立行政法人日本スポーツ振興センター)を実施しています。

この度、この事業をさらに発展させたプロジェクトである以下の事業を文部科学省が推進する「2018年度日本型教育の海外展開推進事業パイロット事業」に申請し、「EDU-Port公認プロジェクト」として採択されました。

文部科学省 採択事業詳細
●応募事業名  :2018年度 文部科学省「日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)」公認プロジェクト
●採択事業名  :⽇本型体育科教育の世界への展開〜レッスン・スタディを活⽤したペルーの体育教員研修システムの構築〜(代表:教育学研究科・齊藤一彦)
●事業目的・内容:ペルーでは、2017年から⼩学校の体育授業数が週2コマから3コマへと増加し、適切な体育授業を展開できる教員の育成が喫緊の課題となっている。またその中で、⽇本の学校体育の知⾒の共有が求められてきている。そこで本事業では本学が中⼼となりながら、特にレッスン・スタディを活⽤した体育教員研修システムの構築を⽬指しつつ、ペルーの体育教師の能⼒開発に向けての⽀援を⾏う。

 

 

1. Activities & Outputs活動と成果

本事業に関連して、EVRIがこれまで行ってきた活動と成果は、以下から確認していただくことができます。活動報告書(レター)のPDFデータはこちらから参照できます。


活動①:レッスン・スタディに関する意見交換会と体育授業研究会を開催しました

齊藤一彦教授(健康スポーツ科学講座)2018127()13()にペルーのアレキパ市・クスコ市とリマ市を訪問し、体育授業に関する意見交換会及び授業研究会を開催しました。

アレキパ市・クスコ市では、体育専門家、体育指導主事、体育教員とともにレッスン・スタディを用いた体育授業の向上について意見交換を行いました。
リマ市では、教育省,サンマルコス大学、リマ市教育局及び地域教育部から体育科教育の専門家、そして現職の体育教員らを対象とし、ペルー国内では初となる「授業研究会」を体育教員研修会の枠組みの中で開催しました。2校の中学校において体育授業の観察及び事後検討会を行いつつ、授業研究の進め方そのものについても確認・協議しあうことができました。また、リマ市の体育教員向けの研修にも参加し、レッスン・スタディを活用した教員研修について発表を行いました。

政府や各機関、教員が連携して行う授業改善の形態がなかったペルーにおいて、レッスン・スタディを活用した体育教員研修システムの構築に向け着実に歩を進めることができました。

 

活動の様子についてレターも作成しております。ぜひご覧ください!

[HUGLIレターNo.36]

HUGLIレターno.36(齊藤先生)pptx.(mac)のサムネイル

 


活動②:2018年度EDU-Portシンポジウムで成果報告しました

2019年3月7日(木)に文部科学省にて開催された2018年度EDU-Portシンポジウムにて、ポスター発表の形式で事業の成果を報告しました。当日の発表資料(スライド)はこちらからご覧いただけます。

 

齊藤教授の発表の様子はYouTubeからご覧いただけます。

 

当日の発表ポスターは、下記をご参照ください(PDF版はこちらからご覧いただけます)。


活動③:ペルーの⼆都市で体育授業研究会を開催しました

 

2019年11⽉26⽇(⽕)~29⽇(⾦)に⿑藤⼀彦教授と岩⽥昌太郎准教授(広島大学)がペルーのアレキパ市とクスコ市を訪問し、両市では初となる体育授業研究会を開催しました。

 

 

今回の研究会では、(1)⽇本の体育授業の紹介や授業研究についての概要についてのパネルディスカッション及び講義、(2)授業研究の⼀連の流れ、「事前検討会―授業実践―事後検討会」の全てを⽇本チームで実演、という⼤きく⼆部に分けてのスタイルで実施されました。

(1)については⿑藤教授、久我アレキサンデル⽒(愛知県⽴⼤学共同研究員)、及びペルーの体育専⾨家(教育省体育科教育専⾨家・体育科教育を専⾨とするペルーの⼤学教授ら4名)の協⼒により実施されました。(2)については、「バレーボール」と「アダプテッドスポーツ」が題材となり、本学⼤学院の⼤学院⽣が実際に授業を⾏いました。事後検討会では、岩田准教授と光橋健⽒(広島県教育委員会)が振り返りを⾏い、最後に、本研究会の総括として⿑藤教授がまとめを述べられました。

 

 

また,今回の研究会では,2都市の体育教員のほぼ全員が参加し,合わせて900名近い参加者となりました。

活動の様子についてレターも作成しております。ぜひご覧ください!

[HUGLIレターNo.54]

HUGLIレターno.54(ペルー現地研修)pptx.(mac)のサムネイル


活動④:2019年度EDU-Portシンポジウム

 

令和2年3月3日(火)に開催予定としていた「EDU-Port(日本型教育の海外展開)シンポジウム」は、昨今の情勢に鑑み、開催が延期されました。詳細は下記リンクよりご覧ください。

文部科学省HP:日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)はこちら。

 

2020年3月版の事業紹介パンフレットが作成されております。下記をご参照ください(PDF版はこちらからご覧いただけます)。

 


Conclusion
まとめ

プロジェクトの成果

 

「日本型体育科教育」の視点を活かし、ペルーの体育教員研修システムの構築を支援する本事業のアウトプット達成状況は以下のとおりです。

(1)体育教員研修プログラムの開発
広島大学、広島県教育委員会、リマ市・ペルー体育科教育関係者(カウンターパート)と共同で、リマ市以外でも体育教員研修ができるよう、アレキパ市やクスコ市の実態を踏まえた体育教員研修プログラムを開発しました。

(2)ネットワークの構築
ペルーの体育科教育関係者、とりわけペルー教育省及び、リマ市、アレキパ市、クスコ市の大学・地域の教育行政との連携・ネットワークが構築されました。

(3)現地体育教員研修の実施
アレキパ市・クスコ市で、指導実践力を高めあうことをねらいとした体育教員研修を実施しました。その際、「レッスン・スタディ」を実施し、他者の授業実践や事後検討会、振り返り会などを行いました。また、体育の教材開発について、日本の専門家達及びリマ市の体育専門家からも指導助言及び意見交換を行うことができました。

 

今後の可能性

 

2000年代に入り「開発と平和のためのスポーツ」という概念が世界中に広まっています。そのため、国際機関や各国政府・スポーツ関連機関において「スポーツと開発」に対する取り組みの勢いが急速に高まってきており、その基盤となる「学校体育」への注目は世界的にも高まる動きがあります。ペルーでも学校体育の時間数の増加から、学校体育カリキュラムや体育教師の能力向上へのニーズは高まりつつあります。加えて、特に地方都市における学校体育の改善は喫緊の課題となっています。そこで、日本型体育科教育モデルが、今後、ペルー国内に広く普及していくことが期待されています。本事業では、ペルーの体育教師の能⼒開発に対して、レッスン・スタディを活用した教員研修会の開催を通した直接的な支援と、それが継続的に実施・展開されることを期待した教員研修プログラム及び連携ネットワークの構築というハード面での支援をすることができました。

ただし、本事業ではリマ市、アレキパ市、クスコ市の3都市で研修を実施しましたが、対象とならなかった都市からも、本事業の開催需要があることが推察されました。これらのことから、長期的に事業が継続される必要があるものと思われます。

また、本事業の成果を活かし、今後もEVRIを拠点として、様々な国で実施することのできるレッスン・スタディを活用した体育教員研修プログラムを開発し、それを様々な国の多様なニーズに応じてアレンジして提供できるプラットフォームの構築を目指して参ります。

 

成果の発信

JSPS(日本学術振興会) サンフランシスコ研究連絡センター が発行するNEWS LETTER に、「日本の大学における特色ある学術研究活動」としてEVRIが取り組んできた「ペルーに対する体育教師の能力開発支援」事業(主催:独立行政法人日本スポーツ振興センター)が紹介されました。


 


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