研究拠点創成フォーラム(12)「第1回教科教育国際会議:東アジアにおける教科教育学のパラダイム」を開催しました
[研究拠点創成フォーラムNo.12 集合写真]
広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、2019年2月17日に知識創成フォーラム(12)「第1回教科教育国際会議:東アジアにおける教科教育学のパラダイム」を開催しました。本フォーラムは、日本教科教育学会との共催によるもので、アジア各国の有力大学から研究者を招聘し、「学問領域としての『教科教育学』は各国でどのように定義されているか」について議論しました。
「第1回教科教育国際会議:東アジアにおける教科教育学のパラダイム」
主催
日本教科教育学会
共催
広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」
大会テーマ:各国の文脈では、学問領域としての「教科教育学」はどのように定義されているのだろうか
■第1部 数学科教育に焦点をあてた各国の提案
午前の部は、数学科教育に焦点をあてて、日本・中国・韓国各国の提案とインドネシアからの問題提起がありました。授業の語りに見られる地域的なコンテキストの影響、授業分析の視点の相違などをめぐって意見が交わされました。
清水美憲(筑波大学)
「数学の「よい授業」の探究と数学教師の教授学的語彙の特定:授業の国際比較を通してみる教科の意義」
ZHANG Chunli(北京師範大学)
「授業研究の中国版モデルと経験」
JUN Youngcook(順天大学)
「韓国における数学とコンピューター学習のための計算論的思考ツールに関するレビュー」
■第2部 音楽科や社会科を事例に各国の発表・ディスカッション
午後の部では、音楽科や社会科を事例に、日本・中国・韓国とカンボジアの研究者が発表しました。意見交換を通して、各国で教科教育学が確立されてくる経緯や学問体系から見た教科教育学の位置づけの違いが浮き彫りになりました。その後のディスカッションでは、PCKの評価を主たる論点にして議論が進みました。アジア各国の教育学(の知識)の構造、教員養成のシステム、教員に期待される専門的知識、教育政策上の優先課題、海外からの学術的な影響、各大学がおかれた文化的・政治的背景や大学内の権力作用等が複雑に作用し、教科教育学のパラダイムが多元的に存立していることが確認されました。
伊藤真(広島大学)
「日本の教科教育研究の典型事例ー音楽科教育の視点からー」
ZHOU Bin(華東師範大学)
「教科教育の専門化:知識基盤と行動経路」
CHO Youngdal,PARK Sunghyeok(ソウル大学)
「韓国における教科教育学の概念と特性」
■まとめ
第1回の会議は和やかな雰囲気で始まりながらも,終盤では白熱した議論が展開されました。来年度以降も第2回・第3回のシンポジウムを継続的に開催し,広島大学を拠点に東アジアにおける教科教育学のパラダイムを協働して追究して参ります。
[EVRIレターNo.45]
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教育学研究科HPにも掲載されております