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研究拠点創成フォーラム(10)「教師教育者に関する国際シンポジウム」を開催しました

公開日:2018年12月21日 カテゴリー:開催報告

 

広島大学インキュベーション研究拠点「教育ヴィジョン研究センター(EVRI)」は、「教育の専門家」研究ユニットに関連して、ノルウェーからKari Smith先生(ノルウェー工科大学)とオランダからAnja Swennwn先生(アムステルダム自由大学)を招聘し、2018年12月8日(土)に研究拠点創成フォーラム(10)「教師教育者に関する国際シンポジウム-Teacher Educators’ Identity and their Development in Europe and Japan-」を武蔵大学(東京)で開催しました。なお、本シンポジウムは、2部構成で行われました。

 

【教師教育者に関する国際シンポジウム-Teacher Educators’ Identity and their Development in Europe and Japan-】

 

第1部 日本の教師教育者研究
登壇者:草原和博先生、岩田昌太郎先生、川口広美先生、大坂遊先生


第1部は日本側からの研究報告でした。まず、草原先生より本シンポジウムの趣旨説明が行われました。”今、なぜ日本で教師教育をしなければならないのか”という問いが会場に投げかけられ、政策的な動向の説明と事例を報告する意義について述べられました。次に、武蔵大学の武田信子先生から教師教育研究に関する学問的知見や教師教育の協働コミュニティを構成することの重要性が指摘されました。そして、広島大学の川口先生と徳山大学の大坂先生及び広島大学の岩田先生から、具体的なケーススタディとして、中堅の教師教育者に関する質的調査とセルフスタディの報告がなされました。

 

第2部 基調講演
Anja Swennen先生 ーThe Identity and pedagogy of teacher educatorsー


まず、Swennen先生からは”教師を教える教師”、つまり教師教育者のアイデンティティと専門性発達に関する提案がなされました。Swennen先生は、教師教育者とは”自分が教師教育者である”との自覚を持ち、”学生のロールモデル”となることが大切であると述べられました。そして、”学生のロールモデル”となるためには、”言行一致した教師教育”ができることが重要だとおっしゃられました。この”言行一致した教師教育”とは、”学生や教師に教えていることが教師教育者自身も実行できている”ということです。さらに、よい教師教育者は、ただ上手に教えるだけでなく、”言わずとも学生が真似をしたくなるような教師としての振る舞い(暗黙的なモデリング)”ができ、”自身の言行や思考のプロセスを開示すること(明示的なモデリング)”ができるといいます。これら2つの”モデリング”ができ、”学生のロールモデル”となることができるよう、教師教育者は自身の専門性を高めていく必要性があることが理解できました。

 

Kari Smith先生       ーCreatingThird Spaces in Teacher Education through Cooperation and Mutual Respectー


次に、Smith先生からは、”学校という場を子どもたちにとってより良い学びの場とすること”を一番の目標に掲げた上で、教師教育現場では、大学と実践現場とのパートナーシップを構築し、相互尊重を計るためのサードスペースを作ることの重要性に関する発表がありました。Smith先生は、教師教育者とは単に大学の先生だけでなく、学生や教師の周りで彼らに影響を与える様々な立場の人も含まれると言及されました。そして、彼らに影響を与える周囲の教師教育者たちが集い、目的や理念を共有し、互いの知識(teacher knowledge)を結びつけ、未来の教師を育てる場がサードスペースであり、その発展には、教師教育者たちが相互に尊重した上での連携が重要であることの理解が深まりました。

 

 

お二人の希望もあり、シンポジウム前日には東京の中学校へ学校訪問も行い、施設及び授業を視察されました。お二人は生徒や先生方の真剣な眼差しにも感動されていましたが、最も驚かれていたことは、学校がとにかく綺麗であったこと、さらに、それは子どもたち自らが掃除をしているためであるということでした。学校は、その国の文化が顕著に現れる場でもあり、視察を通してノルウェー・オランダ・日本の文化の違いや共通点を語り合うことができました。


活動報告レターも作成しておりますので、ご覧ください。

EVRI Letter no.38(Mac)のサムネイル

【EVRI Letter No.38】


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